り回されたり




「ひっさしぶりやな!でもなんで立海に居るん?」


「あれから2回目の転校先が立海で、あとは何やかんやで」


「何やかんやって何や」


如何にも親しげな2人の間に、精市が入った。


「はいはい、積もる話はあるだろうけど取り敢えず荷物持って行くよ」


「あ、ゴメン。蔵、また後で!」


「おん、詳しく話訊くからな!」


ひらひらと手を振れば彼の傍にいた赤髪の少年も手を振ってくれた。


「白石と、どーいう関係?」


(…不機嫌?)


バスから荷物を運んでいたら、少し苛立ったような声音で問われる。


「浮気じゃの」


「浮気ッスよ」


「はぁ?」


雅治と赤也も責めるような目をしている理由が分からない。


「蔵は私が大阪に居た時の友人。中1までは四天宝寺生だったしね」


「しかし、お前が立海の前に居たのは埼玉の学校ではなかったか?」


「立海の前はね。私は5回転校したけど、うち2回は中学校でだよ」


「約1年ごとに転校、ですか。大変ですね」


蓮二や柳生はいたって変わらないが、精市に雅治、赤也のご機嫌は宜しくないらしい。


「まぁ、転校は大変だけどそのお陰でみんなに会えたからね」


だから拗ねるなと赤也の頭を撫でれば、腕に雅治が首に精市が抱きついてくる。



彼女の一言で一喜一憂する仲間に、傍観組は苦笑を漏らした。















「なぁ白石!さっきの姉ちゃん誰や?メッチャ美人やったで!」


「ホントよね〜、蔵リンたら隅に置けないんだ・か・ら!」


「小4あたりからの知り合いで、中1までは四天宝寺に居った奴やで。謙也は知っとるんと…ってあそこはまた身内争いかいな」


視界の端で喚く忍足家に溜め息をついて、けれど、と口の中で呟く。


(あれから、また…)


彼女の転校する理由を知っている身としては、心配せざるをえない。


(まぁ立海の連中とは上手くやっとるみたいやけど…)


立海陣と戯れる名前を見て、薄く微笑んだ。















「名前〜!久しぶりだにゃー!」


「おー、英二!」


4校分のマネージャーというどう考えても無茶振りこの上ない仕事の為に早めに準備をしていたら、練習スタイルに着替えた英二と不二がやって来た。


「ごめんね、ウチからもマネージャーを用意したかったんだけど」


手塚にも先ほど謝られたが、まぁ諸事情により無理だったらしい。
なんとなく予想の範囲内だったので仕方ないが、流石に疲れるのが目に見える。


「名前なら大丈ー夫っ!なんなら俺も手伝うし!」


「うん、その言葉に甘える」


人数が人数なので、流石に1人では無理だ。氷帝の滝も手伝ってくれるらしいが他の部員の手を借りることもあるだろう。


「最悪、後輩共はパシッて良いからね」


にっこりとした笑顔に騙されることなかれ。コイツさらっと後輩を売りやがったなんて突っ込みは内心に収め、宜しくと、出来る限りの笑みで返した。








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