準仕様


ヘッドフォンをつけた彼は気付いてない。後ろから迫るその姿に。


「ひーかー…」


「どうしたんスか、名前先輩」


「何?!」


後ろからヘッドフォンを奪う予定が、彼…財前光が振り返ったことにより失敗。


「チ」


「チ、ってまた俺のこと驚かせようとか思っとったんスか。100年早いッスわ」


むす〜っと見ても、彼からは呆れたような視線が返ってくるだけ。


「絶対バレないと思ってたのに」


「その自信はどっから来るんスか」


ちなみに今の所5連敗中である。
曲を聴いてないのかと疑ってみたこともあるが、実際ヘッドフォンから曲は流れていて。

自分的には全力で気配を消しているつもりだし、実際に友人や彼と同じ部活に属する謙也などは気付かない。

のに。


「なんでバレるかなぁ?」


拗ねたような口調で光のヘッドフォンを手に取ってみるが、黄色のそれは特に変わったものではない。


「ま、先輩には一生かかったところで俺を背後から驚かせるんは無理ッスよ」


「いーや、一度ぐらいは驚かせたい」


「願望やないッスか」


用もなくヘッドフォンを首から下げて、ちょこちょこと光の傍に寄ればわかっているとばかりに抱き寄せられた。

背中を光に預けて、彼の両腕を掴みながら顔を上にあげる。


「ケチ」


「なら、バレへんようにしたって下さい」


まぁ、と彼はにやりと笑う。


「俺には名前感知センサーが付いとるんで、不可能やと思いますけど」


ちゅっと額にキスを落とされて、いつもみたいに赤面。


連敗記録は、まだ止まらなそうだ。















……………

財前!好き!
ただ関西弁+敬語って難しいorz

仁王と同時進行したら光のが早く出来た。仁王の話がまとまらぬ(泣)





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