達が出来ました



「宜しくね名前ちゃん!」


「こっちこそ宜しく」


若干照れられながらの初対面的挨拶。ちなみにこのやり取り6回目で、全員女子からである。
勿論これから同じクラスの仲間なのだから宜しくするのは構わないし女子が嫌いなワケではないが。


「かっこいい…」


うん、その感想には素直に喜んでいいか迷うな。


「名字さんに仁王君に丸井君でしょ!アタシこのクラスで良かった〜!」


(また“仁王君”に“丸井君”…)


机に頬杖をつきながらボンヤリと考えるのは、友人も言っていた2人の名前。
人の名前を覚えるのは苦手だが、朝から相当な回数その単語を聞いている。


「今年は良い席になったのう」


「?」


そんなことを考えていた時、空いていた隣の席に男子が座った。


「お前さん名字じゃろ?去年の冬転入してきた」


「そーだけど、なんで知ってるの?」


むしろ貴方が誰ですかと問う必要は、周りの女子の仁王君コールによって無くなった。


「それなりに有名じゃけんのう」


「ふーん?」


有名?
確かにかなり中途半端な時期に転入してきたという点はよく指摘されるが…。


「仁王と同じクラスか…ってアレ、」


「お、ブンちゃん」


(ブンちゃん?)


「名字じゃん!同じクラスだったのか」


「え、何そのフレンドリー感」


いきなりの友達テンションの挨拶に戸惑っていると仁王君が言った。


「ブンちゃん、名字は俺らとは初対面ぜよ」


「うん、分かってるなら自己紹介ぐらいしておくれ。私は基本的人を通して知った名前は覚えないから。

あ、知ってるみたいだけど一応…名字名前です、宜しく」


「仁王雅治じゃ」


「俺は丸井ブン太な、シクヨロ名前!」


「おぉ、まさかの名前呼び」


自己紹介前からかなりフレンドリーな感じ(※初対面)だったが名前で呼ばれると一気に距離が近くなった気がする。


「駄目か?」


「いや、気にはしないけど」


いきなりの名前呼びを珍しく感じただけであって、変なあだ名でもない限り呼び方はあまり気にはならない。


「なら俺も名前で呼ばせて貰おうかのう。名前も俺らのことは名前で呼ぶといいぜよ」


「じゃー、雅治とブン太ね」


正直な話、君付けで呼ぶのは好きじゃない。理由は1つで…単に面倒だから。


「お前も結構フレンドリーだな。女子が“名字さんってクールな感じでカッコいい”とか言ってたからもっと気取ったヤツかと思ってたぜい」


「うえぇ?そんなん言われてるの?
私ぜんっぜん、クールじゃないのに」


「噂なんてそんなモンじゃろ。まぁ、噂以上に美人ではあるがの」


「…っ、いきなり何を言う」


思わぬ不意打ちに視線を逸らせば、おぉ、と2人の声があがる。


「お、照れてる?」


「可愛いナリ」


「からかわないでくれるかな」


キッと睨めば怖い怖いとおどけられた。その様子が可笑しくて笑えば、釣られたように彼らも笑う。



うん、私このクラスで良かった。







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