最愛、腕の中で
「んんー、絶頂〜!」
風呂上がりの一言が絶頂。“ぜっちょう”ではなく“エクスタシー”。初めて聞いた時は大丈夫かコイツと思った。
「名前〜、なんか飲み物取ってくれへん?」
「いちご牛乳で良い?」
わしゃわしゃとタオルで髪をこする蔵に紙パックのいちご牛乳にストローをさしてから渡す。
「ありがとな」
そう言って、包帯の巻かれた腕で受け取ってストローを口にくわえる。
「…どした?」
髪を拭いていた右手を、不意に伸ばされた。
「おいで」
「………」
たっぷり3秒停止。
「なんや、今日は冷たいなぁ」
「いや…、私はいつもこんな感じだけど。むしろ蔵がどうした?」
「恋人を抱き締めんのに理由が要るんか?」
ちょっと寂しそうな目を向けられ、何となく罪悪感が湧く。
「…おいで?」
「………」
野郎の小首傾げなんて微塵も可愛くないけれど、つい近寄ればふわりと体に手が回されて。
風呂上がりだから当たり前なのだが、蔵の体温がいつもより高くて石鹸の匂いが鼻をかすめる。
ズズ…ッといちご牛乳を飲み終えたかと思ったら、紙パックを傍に置いて両手で抱き締められた。
「蔵あったかい」
「名前もあったかいで」
ごろごろとすり寄られて少しくすぐったい。
「髪、まだ濡れてる」
そう言って腕を伸ばして、頭から被っているタオルで少し拭いてあげる。
「名前が乾かして。俺は両手が塞がっとるさかい」
「仕方ないなー」
文句を言いながらもわしゃわしゃと拭いてやれば、どうやら気持ち良いらしい。
見た目よりは長めな髪は、時間を置いてあることもあってか思ったより直ぐに乾いた。(若干生乾きではあるが)
「名前、」
「!」
ぐい、と頭を抑えられて蔵と急接近。
すぐ傍に端正な顔があって、思わず見とれる。
「なんや、見とれたか?」
「うん。蔵の顔、好き」
じっと見つめて答えれば、少し複雑な顔をされた。
「好きなんは顔だけか?」
「んー、」
彼の腕の中で猫みたいに体を伸ばして、その頬に口付ける。
「全部」
「おおきに」
そう言って同時に腕の力が強くなったかと思ったら、次の瞬間には私の唇が塞がれていました。
……………
部長'sは制覇!
なんか手塚に比べてどんどん長くなってる気が…。
次は仁王か忍足かなぁ。
いや、でも不二も書きたい。