になるとは




「ボクは不二周助、宜しくね」


「おぉ、美人さん」


「クス…、君に言われても素直に喜んで良いか迷うな」



「「「………」」」



立海と青学の中性美人の会話、というとても絵になる光景に周りは思わず停止してしまった。


「よし、覚えた。手塚に大石に英二に不二に乾にタカさんに桃に海堂におチビ」


「ねぇ、その呼び方ヤダって言ったよね」


「どうせならボクも名前で呼んで欲しいな」


「えー、呼びやすいのにワガママだなぁ。じゃ周助と、リョーマでok?」


「むー、なんか妬けるCー」


やっと起きたジローが言ったが彼女は気にしない。


「せやなぁ…、もうこうなったら俺のモンにするしか「また背負い投げるよ?」…スマン」


ジローが膝から居なくなったので、漸く立ち上がれる。


「おい、そろそろ行くぞ?」


「あ、うん。またねー」


景吾に急かされて、青学陣に手を振りながら別れる。
英二がオーバーなくらいに手を振るのが可愛いなんて思いながら、駐車場に行けば。


「えーっとなんだっけ、イタリアだったと思うんだ。あ、アレかフェ●ーリ?」


「そりゃ跳ね馬だろ。コイツはランボ●ギーニだ」


高級車が待っておりました。


「俺様は名前を神奈川に送ってくる。お前らは運転手が分かってるからそっちで帰れ」


「えー!跡部ズルいCー!」


「せやで!なんの為に青学まで来たと思ってんのや!」


「侑士は無理矢理ついて来ただろ…」


「…ウス」


そうか侑士は無理矢理ついて来たのかとか考えてる間に、話の決着は着いたらしい。


「名前ちゃん!送り狼されそうになったら容赦なくやってええからな〜!」


「しねぇよ!」


そんなやり取りをBGMに、私は人生初のラン●ルギーニに乗り込んだ。


「………そーいや景吾、」


なんとか高級車特有の緊張から解放された頃、私とは対照的に高級車でのくつろぎモードが絵になる男に尋ねる。


「送り狼って何?」


「………」



その問いの答えは得られなかった。















「…で、俺に内緒で浮気してたの?」


おいおい勘弁してくれよジョニー。私はもう疲れたの寝たいの分かるかい?


「なんでこんな場所にいらっしゃるのでしょうか?」


「剣道部の友人から“なんか氷帝の奴ら来てたけど?”ってメールがあってね。もしやと思って待ってたんだ」


そのメールした犯人は後からシバくとして、私の肩を抱きながら景吾と視線だけで火花を散らす精市をどうにかして欲しい。


「おーっすっげぇなコレ、なんだっけベ●ツ?」


「違うじゃろ。ポル●ェじゃなか?」


「残念ながらどちらも外れです」


「ランボル●ーニだな。ベ●ツもポ●シェもドイツだぞ」


いやそこ。高級車に見とれる気持ちは分かるが助けておくれよ。ていうか紳士と参謀は死角ナシか。


「名前、知らない人の車には乗っちゃ駄目だろ?」


「おい、」


「いや知り合いだから。景吾さんきゅ」


スルリと精市の腕から逃れて言えば、別に大したことじゃないと返される。


「じゃーね」


「あぁ」


本当に送る為だけに神奈川来てくれたんだなぁ、なんて思うと彼の株が少し上昇した。


(魔王が居るのにデートとか…無理だろ)


わざわざ神奈川まで来たのになんて思うラ●ボルギーニの似合う男の心情など、知りもしないで。










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