面下で火花



「な、仁王テメェ卑怯だぞ!」


「プリッ」


「あはは、ブン太油断し過ぎ」


「幸村部長容赦ねぇ…っ!」


「赤也も狙われているぞ」


テレビの下にあるゲーム機を発見した赤也の一言により何故か現在はゲーム大会。
ちなみに最大4人プレイなので蓮二と私は観戦中。

余談だが、意外なことに精市が最強だ。

こうしてガチャガチャとゲームに夢中になる様子は中学生らしいなぁなんて思いながら時計を見れば、12時を5分過ぎた頃。


「あー!また幸村君かよ!」


「流石神の子ナリ」


「強過ぎっすよ〜」


「みんな弱過ぎるよ」


対戦が終了したらしく、リザルト画面には精市の使用したキャラが大きく映る。


「幸村は特異型のキャラクターの扱いに長けているな」


「え、それって必要な情報?」


なんてやり取りをしていたら、いきなり雅治が後ろから抱きついてきた。


「お腹空いたナリ〜」


「なんか買ってきなよ」


「名前が作ってくれんじゃねーの?」


「俺も食べたいッス!」


「フツーにやだよ面倒臭い」


「まぁまぁ、手伝いならするからさ…柳が」


「………俺もそんな扱いを受ける日が来るとはな」


「いや手伝う以前に作らないし」


頑なに昼食を作る理由は1つ。
人数的に面倒くさいからだ。


「作ってくれないと名前を食べるぜよ?」


「ちょ、仁王!」


「仁王先輩!」


雅治の問題発言にブン太と赤也は動揺するが、言われた本人は涼しい顔で言った。


「その場合は何処の骨が折れても文句言わないでね?」


にっこりとした笑顔の裏の脅迫に、寒気を覚える。


「………お腹空いた」


「ハァ、ホットケーキで文句がある奴は買ってきなさい」


仕方ないとばかりにそう言えば、雅治の抱き付く力が強くなる。


「名前〜っ!」


「「5秒以内で離れないとぶっ飛ばす」」


精市との完璧なハモリに、雅治はあっさりと離れてくれた。















「でもさ、ホットケーキは手作り料理にカウントされるの?」


「名前が作ることに意味があるんじゃ」


「まぁこの人数の飯を作りたくはないだろ。只でさえ急に来たんだし」


「ていうか、今思ったんスけど…」


キッチンに立つ名前と蓮二。
ホットケーキなら手伝う必要は無い気がするのだが名前が面倒がった為に主に蓮二が作っている…のに彼らは気づいてないのはさて置き。


「なんか、新婚っぽくないスか?」


「「「………」」」


キッチンに若い(というか中学生)2人が仲良く料理。


「やっぱり俺、手伝ってくる」


「待ちんしゃいブンちゃん、此処は俺が」


「いやもう出来たから」


ガタッと立ち上がりかけた彼らを制するように、両手にホットケーキを持った名前が現れた。


「美味しそうだね」


「ホットケーキなんて焦がさない限りみんな同じじゃないかなー。あ、おかわりは早い者勝ちだから」


残りの分を蓮二と、それから立ち上がったついでにブン太が自らの分を持ってきた。


「そういえば、先ほど新婚がどうのこうの言っていたが…」


意外と早食いな名前がもうおかわりを取りに行っているタイミングで、参謀が笑った。


「なかなか悪くない気分だな」



全員の食事の手が、一瞬止まった。







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