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金ちゃんの背中にいるのは、抱きつくためというか盾に近い。いやおんぶされてるけど、彼は見た目以上に力持ちみたいだ。


「あーもーホンマにかわええな、抱っこしてもええ?」


「絶対嫌だ」


「謙也に白石はねーちゃんに近付けたらアカン言われとるで!」


「だったら手っ取り早く青学の方に来たら。…離れなよ」


「おチビ、名前を取られて嫉妬かにゃー?けど、俺も遊びたいんだよね」


「あーん?てめーら、俺様の所有物に何してやがる」


「………近寄るな仁王」


「………ピヨッ。なんで名前は分かるんかのぅ」


「うわ、使えねー詐欺師だな」


「ブンちゃんは黙りんしゃい」


ていうかお前ら練習戻れよ。私はドリンクを作りに来ただけのはずなのにどうしてこうなった。


「てめぇら、今は練習の時間のはずだが?」


ほら、冷気を纏った綺麗な目が痛いぐらいに鋭くなってる。















「何もするな此処を離れるな。常に俺の視界内にいろ」


「一応仮にも名前だけかもしれないけど多分マネージャーだよ私は」


亮のタオルを畳みながら言えば、ご機嫌最悪な我らが部長サマは仰られた。


「うるせぇ」


「うわぁ理不尽」


ちなみに先ほどの連中はグラウンドを走らされている。英二いわく「手塚の専売特許なのに〜」…そんなに走らせてるのか手塚。


「まぁ、他校の子や俺もいるし今日は従ってあげなよ」


イライラMAXな跡部に苦笑しながら滝は言う。そして亮や忍足が少し離れた場所から頷いてみせて…つまり私が生贄というわけか。


「いや…うん…わかった」


今日の私の仕事は跡部のご機嫌取りへと変わった瞬間だった。















「あの、滝先輩…」


名前の分の仕事をするのは構わないが、さて1人でやるのは久しぶりだと考えていたら青学の…確か竜崎先生のお孫さんと越前リョーマに熱狂的な反応をする子が尋ねてきた。


「どうかした?」


自己紹介は軽く済ませてあるし、互いにサポートしあっているから他の部員よりは話しやすいと思われているのだろう。


「ぶっちゃけ名前先輩と跡部景吾って付き合ってるんですか?」


「と、朋ちゃん…!」


久しぶりに名前以外の女の子の口から様付けのない跡部の名前を聞いたな、とふと思ったのは別に質問が予想外だったわけでもなく単にそう思っただけだ。

竜崎さんも小坂田さんも同性なだけあって名前とはかなり打ち解けていたし、跡部のあの様子を見て気になったのだろう。それにクラスの女の子から同じ質問をされたことも少なくない…16回ほどある。

そしてこの答えも16回目だ。


「俺より、本人達に直接訊くべきじゃないかな?」


尋ねた方次第では答えが正反対だろうけれど。










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