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多分、高確率で私の周りに誰かしらが居るのはこういう展開を無くすためだ。


「ちょっと聞いてる?」


「え?あ、ごめん全っ然」


ところで、6対1は卑怯じゃなかろうか。















マネージャーに強制任命されて2週間ほどすると、私の上履きが誘拐された。世の中には物好きな変態が居るなぁと思って、特に相手にはしなかった。
ただ、また新しいのを買って誘拐されるのも勿体無いので…妙にリアルなタランチュラの玩具に監視カメラを仕込んだものをスタンバイさせたら、悲鳴と共に犯人がばっちり映っていたからちょっと本格的に脅迫しただけで。

C組は熱狂的なテニス部ファンが居ないのとクラスの気質上安全だし、個人ロッカーは鍵付きだし、呼び出しは全部無視…もしくは跡部と行くという逆に嫌がらせをしていたのだが。


「まさか無理矢理連れ去られるなんて…あ、私にそんな趣味ないんで」


体育用具室に連れ去られた。いきなり抱き上げられたはいいが、危うくマジ殴りしかけた。


「こっちだって鳳君しか興味ねーよ」


いや聞いてないです。しかも長太郎ファンかよ。多いのは知ってるけどドヤ顔で年下趣味を語られても困る。


「ちょっと可愛いからってあんまり調子に乗ると…」


胸ぐらを掴まれて睨まれ、殴られでもするかと思った…その瞬間。


♪ 咲き乱れて 華麗に…


「あ、ごめん私のケータ…『先輩!今どこに居ます?!』…うっさい馬鹿」


タイミング良く鳴り出したケータイを取れば、噂の人物の声。


『おい、長太郎』『代わりませんよ』『違う、落ち着け。なんでそんな必死なんだ』『だってなんか嫌な予感がするんです。具体的には身の程をわきまえないバスケ部のクソア…先輩が名前先輩の胸ぐらを掴んでるとか』『お前今クソアマとか言いかけなかったか?』


「………」


「………」


何だろう。体育用具室には監視カメラなんか仕掛けられていただろうか。


「あー、えっと長太郎?君と話したいって人が居るんだけど…」


「?!」


胸ぐらを掴む彼女の耳元に自らのケータイを当てる。


「え、あ…私…は」


『−−−−−…、』


急展開に思考の追い付かないで戸惑っていた表情が、見る見る青く変わっていく。

先ほどとは違って、小さな声のせいか上手く聞き取れないが、十分な威力だったらしい。胸ぐらを掴んでいた手は解かれた。


『で、名前先輩はどこに居るんです?』


「あー…、今から部活に行くよ」


今にも泣きそうな表情の彼女をちょっと可哀想に思いながらも、無駄にいた取り巻き連中は私を見逃してくれた。


「ところでチョタ、お前何言ったの?」


亮の声まで聞こえなくなってるけど、と思うと悪戯っぽい響きでこう返ってきた。


『秘密です』


なんか、脳裏に悪魔が過ぎったよ?







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