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「おい、何やってる」


「あ、やっと来たおかえり会長」


委員会関係の書類を持って来たら生徒会長は留守。置いていっても良かったのだが、会長用の無駄に豪華な椅子の誘惑に負けて座ったところに彼は戻ってきた。


「そこは俺の特等席だ」


「いーなーコレ。座り心地最高だし、私コレで寝れる」


何この見た目ぴしっとした割に座り心地最高って新手のツンデレか、と思いながら堪能していると…、


「お前の特等席はこっちだろーが」


妨害された上に跡部の膝の上に強制移動という罰まで受けた。


「退くんだ跡部、その椅子を私は欲している」


「間接的にだがこの椅子に座ってるだろ。つか、俺様の膝で満足しろ」


「やだよ、不安定だし柔らかくない。…あ、これ宜しく」


「書類あんなら先に出せ。わざわざ俺に会いに来たのかと思ったじゃねーか」


「それは無い。断じて無いよ、有り得ない」


「一句作ってんな」


みょーんと頬をつねられる。跡部さんそれ好きですよね。


「ところで私の用事は終わったしそろそろ教室に戻りたい」


「却下」


腰に回る腕に力がこもる。つーか仕事しろ生徒会長。


「私は次の授業は体調不良になって保健室で寝るんだから離せ。ベッドを確保するんだ」


「ちょいちょいサボろうとするの止めろ。どっちみち宍戸に回収されんだろーが」


「マメだよねぇ、ジローもちゃんと回収するんだよ」


「なら、偶には宍戸に楽させてやるか。教室まで運んでやる」


「いえ、その気遣いは全力で結構です」


余談だが、相変わらず頬をみょんみょんされている。


「その遠慮も結構だ」


ひょいと抱き上げられたかと思うと、そのまま生徒会室を出る。

跡部の肩から顔を出して、座り心地の良い椅子を扉が閉まるまで眺めていた。















「ちわー、跡部配達でーす」


跡部に運ばれながら自分の教室に戻ると、宍戸が呆れた顔をしていた。


「跡部が配達員の格好したかと思うとシュール過ぎんだろ」


「本当なら俺のクラスに入れてぇんだけどな」


「いや止めてよ私はこのクラスじゃなきゃ死ぬ」


C組は何が有り難いかと言えばクラスの仲が良いのとテニス部ファンが少ないことだ。今まで後者は重要でなかったが、テニス部に関わるようになってから如何に重要なのかを知ることが出来た。

私の台詞に2人は複雑な表情になる。心当たりがあるのだろう。特に跡部。いや、彼が悪いとは言わないけれど少し前にちょっとほら色々あったからさ。


「さーて次は小林かぁ。寝よ寝よ」


隙ありとばかりに席に逃げようとすれば、元に戻った跡部が言う。


「お前はジローに何を学んだんだ」


「人間は睡眠欲求には勝てないという事実」


だってほら、噂の彼は窓際ですやすや寝ているし。








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