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「おー、お前さんちっこいのぅ」


「仁王君、初対面の方に失礼でしょう」


「離してやれよ」


「うっせジャッカルのくせに!」


「なんでだよ!」


「赤也、助けて」


「スイマセン、俺には無理ッス」


赤毛に抱き上げられたと思ったら、白髪に頭を撫でられ…眼鏡の人がそれを諫める。で・多分留学生らしき人が理不尽な扱いで…じゃなくて。


「はっなっせ!」


じたばた暴れてみても、上手いこと抑えられてしまう。


「おーう、先輩には敬意を払わないと真田に怒られ…「あの、丸井先輩」…?」


彼ら赤也の先輩らしいのは分かった。赤毛は2年らしいので、必然的に彼らは3年なのだろう。つまり、同級である。


「名前先輩、3年ッスよ」


「は…?」


その瞬間、腕の力が緩んだので脱走。返事が必要らしいが…最近よくあるパターンとはいえ腹が立つので…私は書類を赤也に託し、帰ろうと思った。

の、だが。


「貴様ら、練習中に何を遊んでいる!」


よく通る声に、思わず肩が震えた。















「貴様ら、俺や幸村が目を離した隙に他校の生徒にうつつを抜かすなど…」


先ほどの怒声の人は副部長で真田というらしい。年齢詐称な彼が…ブン太、仁王、ジャッカル(巻き沿い)を叱っている。すまんジャッカル…とは思いつつも、私は用事を優先する。


「どーぞ」


幸村と名乗った儚げな印象の部長さんに書類を渡す。


「わざわざ有難う。…悪いけど、少し待ってもらえるかな?返事が必要なのもあるはずだから」


「はーい」


わかっていたことなので、素直に返事をする。余談だが、後から来た彼らは私のことを事前に跡部から聞いていたらしいので、驚かれたりはしなかった。


「ふむ、146cmか」


「だったら何?」


驚かれたりはしないが、そう言われるのも面白くない。いや、合ってるけど。それがまたムカつく。

糸目の彼は…柳と言っただろうか。


「そう怒るな、俺はデータ収集癖があってな」


「…絶っ対に、必要な情報じゃないでしょ」


子供に対するそれで頭を撫でられても嬉しくはない。プイとそっぽを向けば苦笑いされた。


「あ、柳先輩ズルいッス!俺だってまだ名前先輩に触ってもないのに!」


「真田ー、お説教1人追加」


「ちょっ、止めて下さいよ!」


何だ触ってないって。触ったところで運が上がるとかは無い。


「赤也が名前を愛でたいが先輩が故に躊躇っている確率100%…ふむ、ちょっと良いか?」


面白そうに彼は言うと、私が何かを問う前に抱き上げられた。


「軽いな。146cmの身長に対して理想体重は44kgだが、それにも満たないな。おおよそ…」


「待て待て待てこの際、持ち上げて体重が分かることはともかく、人の体重暴露する気か止めるんだ柳蓮二」


いや太ってはないけれど自分の体重を暴露されて嬉しいわけがない。


「な…っ、柳先輩ズリぃッス!」


抱き上げられたままの私を見て彼は言う。しつこいようだが私に触れたところで運が上がることはない。

ふと、楽しそうな笑みを浮かべる柳を見て…赤也も苦労してるなぁと思った。


「ところで降ろせ」


彼に同情するわけでなく、個人的な願望で。








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