05



皆さんこんにちは。
青学に練習試合に来たらジローがふらりと居ないので探してたら迷子になりました名字名前です。

早く見つけないとなーむしろ戻るべき?と、うろうろしていたら、絆創膏のお兄さんに遭遇しました。


「…っ!!」


「……………」


アレだ。動物好きだけど家の事情で飼えない少年なんかが毎朝通学時間に現れる仔犬とかに目を輝かせるけど自分から触りに行けなくて、飼い主に「犬、好きなの?」みたいな感じで都合良く声をかけてくれるのを待つ目。あんな感じ…の目をしたくせ毛の彼に見下ろされています。


「えーと、」


痺れを切らして自ら声をかけようとすれば、控え目な声が言った。


「………抱っことか…しても良いかにゃー?」


許可を貰おうとする神経に、こんなにも感動する日が来ようとは。















「うわぁ、なんか戻ってるし私が迷子になった時間返せジロー」


「迷子になってたのかよ、激ダサだ…って待てお前何があった」


テニスコートに戻るとジローが樺地の背中で寝ていた。誰だ練習始まる前に探してこいとか言った跡部。俺は手塚に用があるって誰だ手塚。

そんな私の不満をオールスルーで、亮は私を見て指差す。人を指差しちゃいけません。


「ちょ…っ!何してるんですか菊丸さん!俺の名前先輩に!」


「断じてお前のではない」


私の現在地は英二の腕の中。あの後なんやかんやで友情らしきを築き、彼がテニス部だとわかったのでテニスコートまで連れて来てもらった。抱っこで。

…うん、なんか氷帝では私の人権がよく剥奪されるからさ。許可を貰おうとする神経にうっかり甘やかしてしまった。


「こら!英二!」


そんな時、青学のテニス部らしき面子が現れ…中でも…うん、ある意味特徴的な髪型をなされた人の良さそうな方が、英二を小突く。


「見かけないと思ったら、他校の…しかも下級生に迷惑をかけるんじゃない」


「あー、俺も最初はそう思ったけど…大石…名前は、」


確かに先ほど英二にも1年?と訊かれたが。


「氷帝学園中等部3年名字名前です」


よくあることとは言え、許せるわけではない。中等部3年を強調すれば、後ろに居る髪を逆立てた彼とバンダナの彼はあからさまに「「先輩っ?!」」って驚いた表情…待てそんなに驚くことか泣くぞ。


「え…?」


そして眼前の貴方もですかいや良いですよ、別に視界がぼやけてなんかない。


「そ、それはゴメン!あの…なんていうか」


「あまりにも可愛いからつい、ね。ねぇ、僕も抱っこさせてもらっても良いかな?」


動揺気味の大石(英二が呼んでた…)の脇からひょっこりと…何だろう白馬の似合いそうな王子様スマイル。氷帝の王様と違って、こう…爽やかな感じ。


「どうぞ」


承諾すれば、ひょいと持ち上げられそんな細い腕なのに力あるなーと感心。


「軽いね」


「そりゃどーも?」


重くはないと思っているが、見た目相応じゃないだろうか。そんな感じで青学のみんなから自己紹介なんかを受けている間、こう、焼け付くような視線を感じるのを全力でスルーした。


「宍戸さん…、ちょっとサーブの練習しても良いですか?」


「止めとけ長太郎。嫉妬なんて激ダサだぜ」


本気でサーブの練習と言う名の妨害をしようとする後輩の頭を、彼はラケットで軽く叩いた。









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