くない日常




「名前ーっ!」


びょんと飛び付いてくるブン太を片手で制すると、その隙とばかりに雅治に背中を取られた。重い。


「ブンちゃんもまだまだぜよ」


「仁王テメッ!離れろ!」


「やーじゃ。名前の背中あったかいナリ」


「雅治重い」


「ブンちゃんよりは…いたたたた!俺の尻尾を引っ張るんじゃなか!」


背中での出来事なので見えなかったが、どうやらブン太が雅治の尻尾こと結んだ髪を引っ張ったらしい。


「…で・なんなの君達はそんなに私の背中が好きなの?」


雅治が離れたと思ったらブン太が背中から抱きついてきて。


「背中じゃなくて名前が好きなの」


「ありがと、超嬉しい。………離れてくれない?」


「ったく、名前は照れ屋だから仕方ねーな」


ぷぅっと膨らむ風船ガムを割ってやりたい。


「そろそろデレても良い頃ダニ」


「私はいっつもデレてると思うよ?」


「俺らにツンツンじゃ意味ねーだろぃ」


「覚えたての言葉で遊ぶな」


すぐ傍にある端正な顔(むかつく)に指を立てる。


「名前はマネージャーなのに俺らに冷たいぜよ」


「雅治君、君が私を魔王に献上しなかったら私は平穏な学校生活を謳歌していたのだよ」


「良いだろー、刺激的な毎日で」


「女子からの嫌がらせの類が?」


「「………」」


あ、ちょっとした冗談だったのに凹んだ。

自分達にも若干責任があるのを気にしてたのか。勿論、責任の大半は嫌がらせの実行犯に決まってるのに。


普段はどうしようもないのに、なんだか放っておけなくない雰囲気を出すからタチが悪い。


「まぁ、そんな女子連中よりは君らのが大事だけ…どッ?!」


がばっ!と抱きつかれ、ぎゅううう。中学生男子2人に全力で抱きつかれたら私の体がぼろぼろに…。


「おーい、離しておくれよ」


「嫌だ」「嫌じゃ」


「………」


仕方なしに頭を撫でればすり寄って。


「俺もう名前から離れん」


「いや、俺が名前を守るからお前は今すぐ離れろぃ」


「うん、総じて離れやがれ」



まぁ、悪くはないけれど。








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