妬にまつわるエトセトラ



「あははははは!」


「笑い事じゃないぜよ」


あの後。
先ほどまでの話を精市にしたら笑い転げていた。


「まったく嫉妬などたるんどる!」


「しかし仁王君らを呼び出すとは」


「名前先輩すげーッス」


「名前の方が俺達よりも人気、と言うことだな」


「女ってこえーな」


「あぁ、ちょっと怖かったぜぃ…」


「なんて言うか…、本当にゴメンね?」


反応は様々だが何処か疲れた様子の雅治とブン太に申し訳ない気持ちになる。


「いや名前は悪くねーけど」


ぷくーっとガムを膨らませるブン太によしよしと頭を撫でてから、言う。


「まぁ2度とないように言っとくから許してあげてよ」


「…わかった」


その様子を見ていた数名がガタッと立ち上がった。


「ちょい待ち。名前、ブンちゃんばっかりズルいナリ」


「はい?」


「先輩、あの俺も…っ!」


「いいから名前はブン太から離れなよ」


「え?」


なんだろうみんな撫でて貰うの好きなのかなんて考えていたら精市によって強制的にブン太から引き離された。


(なぜ精市と雅治は不機嫌…?)


男心が分からない。


「それより練習試合の話をするんじゃなかったのか?」


ナイス桑原軌道修正。
そもそも雅治やブン太を探しに行ったのはそれが目的だったのだ。


「「練習試合?」」


初めてその話を聞く2人の声が揃った。


「合同合宿の前にスケジュールが合ったからね。
それに名前も慣れる必要があるし」


慣れる必要とは、普段の部活以外の仕事のことだ。


「で、何処となんじゃ?」


選手としては一番気になるところなのであろう。精市も特に勿体ぶらずに答えた。


「氷帝学園」


まぁ、私はそこが何処か知らないのだけれども。




















『それは仁王君と丸井君が気の毒だね』


「私のせい?いやでもまさか呼び出しするとは思わなかったよ」


『幸村君が爆笑してるの見たかったなー』


自宅にて。
友人から電話があったのは1時間前のことだったのに、つい先ほどのことみたいだ。
ちなみに同社間通話無料的なサービスに入っているので、通話料は気にならない。


「あ、ねぇ氷帝って知ってる?」


『いきなりだね。…氷帝学園て、あのセレブ校?』


「セレブ校なんだ」


なんとなくだが疲れる予感がする。


『テニス部の部長が凄いみたいな話は聞いたことあるけど…なんで?』


「今週練習試合で行くの」


そう返せば、真っ先に言われた言葉が…、



『幸村君の試合の録画宜しくね』


「………いや、そんな暇ないから」


そう言えば、友人の中での精市像は素敵な良い人のままなのだろう。


「………」


『…名前?』


「いや、なんでもない」



世の中知らない方が良いこともあるだろうと苦笑して雑談を続けた。







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