絶対絶命ヘルプミー!
「ねぇ、どうしてもダメ?」
「絶対に駄目だ」
「心配するようなことなんか無いってば。むしろ何があるっていうの?」
「何があるか分からないからこそ、1人にはさせられない」
「蓮二、あのね…私だってもう子供じゃないの」
「だが、それでも駄目だ。俺が居た方が安心出来る」
「だからって…」
場所は自宅前、時刻は午後3時前、天気は快晴。私と蓮二、2人きり。掴まれた腕に、交わらない…互いの主張。
幼なじみで、私なんかよりしっかりした彼に頼ることは…中学3年になった今でもあるけれど。
でも…、
「コンビニで買い物ぐらい1人でさせてよ!」
「絶対に駄目だと言っている。お前1人で外出だと?何かあってからでは遅いんだぞ」
「徒歩5分のコンビニにお菓子買いに行くのでさえそんな注意してたら旅行に行くには戦闘機が必要になるってば!」
「旅行?まさか俺に黙って…」
「たとえばの話!」
蓮二は頼れるし、我が幼なじみながら良い人だと思う。私には勿体無いレベルで。だが…、
「過保護…」
結局彼に手を引かれながら、徒歩5分のコンビニへと向かう。
決して車道側は歩かせない、というのは紳士的なようではあるが…柳生君ならともかく、蓮二の場合は過保護の一環だと分かっているから複雑だ。
「俺に守られるのは不満か?」
そんなことを考えていたら、急に彼はそう言った。
「不満…、じゃないけど」
複雑。もう中学も3年で。世間的にはまだまだ子供だろうが、コンビニすら1人で行けない15歳というのは問題じゃなかろうか。
「いつまでも蓮二の保護下に居るわけじゃないし…」
こうして2人で出掛けるのは、好き。でも彼にしてみれば放っておけない妹みたいな存在なのだろう。守るのが、義務…みたいな。
何より。
「いつか離れたら、私が寂しい」
今は、こうして傍に居ても。彼はいつまでも私に目をかけるわけではないだろうから。
過保護だとは思うけど。居なくなって、一番寂しくなるのは………私。
「何を言っている」
「?」
ぐいっと手を引かれて、近くなる距離。
「俺が、1度保護下に置いたものを容易に手放すはずないだろう」
「………」
なんだろう。保護下という名目が引っかかって素直に喜べない。あれか、拾った猫を手放せないみたいな…とか複雑な表情のままで考えていたら。
「…と、いう名目ならお前が警戒しないからな」
ぽすっと。気がついたら蓮二の腕の中で頭を撫でられた。
距離の近さに赤面。急展開に混乱。
「お前は俺を過保護だと言うが…」
耳元。聞き慣れた声なのに、距離が変わっただけで、こんなにも心臓が五月蝿くなる。
「俺からは守ってやらないぞ?」
「?!!」
あぁ、なんて絶対絶命!心臓が今にも壊れそう!