今更ですね
「さて、名前が参謀とデートなんかしとったわけじゃが…」
「私が悪いみたいなニュアンスよくない」
「柳に逆らうと後が怖いからな」
「弱みでも握られてるの?」
「「………」」
「うん、私が悪かった。謝るから全力で目を泳がすの止めようか」
クラスにて。教室に入ると真っ先に雅治とブン太に私は詰め寄られた。
「あーあー参謀ばっかズルいナリ。まーくんもデートしたかったー」
「仁王は先週散々ベタベタしてたろぃ」
「俺は名前にベタベタしとらんと呼吸が出来ないぜよ」
そう言いながらぎゅ。なんか留守番してた子供が母親に抱きつくシーンが脳裏をよぎった。
「いっそ止まれ」
「キスでなら大歓迎じゃ」
「ブン太、雅治にお酒はダメだって…」
「未成年で飲まねーし、飲ませねーよ」
「最近俺の扱いが酷いナリ。前はもっと優しかったのにのぅ」
「倦怠期ってヤツじゃね?」
「ダーリン構って」
「黙ろうかハニー」
私が彼氏役なのか。精市ならともかく、雅治が女ってのは無理がある。
ごろごろ寄ってくる彼の頭を撫でる。彼女というか飼い猫みたいだ。
「ていうか、充分構ってるよね?」
「だんだんワガママになるのが恋人ってヤツじゃよ」
「いや、そもそも恋人同士じゃないだろ。つーか俺が認めねぇ」
「男の嫉妬は醜いぜよ」
そんなやり取りをしていたら、黄色い声のあとにガラガラガラと扉が開いて。
「へぇ、仁王羨ましいなぁ?」
「………」
彼は千里眼でもお持ちなのだろうか。今更驚きもしないが。