据え膳以前に
「落ち着こう話せば分かるよ頭冷やせって考え直そうかふざけんなよ喧嘩なら買うぜ今すぐ体育館裏来いよ」
「どう見てもアンタのがテンパってはるんですけど。落ち着けや」
「光、此処は学校の保健室だよ?そんなとこで先輩を押し倒すってどういう了見なのか言ってごらん?」
「そら好きな女が無防備で寝とったら襲うに決まっとるやろ。据え膳喰わぬは男の恥や」
「いつからそんな子になったんですか!そんな風に育てた覚えはありません!」
「5秒ごとにキャラ変えんなうっといわ。つか名前先輩、アンタどんだけ空気読めへんねん」
「空気は吸うもの…っていうかこのシチュエーションで空気読んだら私は間違いなく大切な何かを失う気がする!」
「大したモン奪わへんて。失うんはせいぜい処女ぐらいや」
「大したモンだ馬鹿!離せ!強姦ダメ、ゼッタイ!」
「抵抗される方が燃えるやろ…?」
「焼け爛れろ!」
「名前先輩と溶けるんは歓迎やけど、爛れるんはちょっと嫌ッスわ」
「とにかく離せ!授業受けようよ、サボりよくない」
「アンタかてサボってはったやろ…」
「違うよ体調不良だよ!」
「ただの不良やん」
「光に言われた…っ!」
「喧嘩売ってるん?」
「まさか。それよりチャイム鳴ったよ離そうか離せよ頼むから離して!」
「うっさいッスわー。キスで黙らせるで?」
「白石謙也千歳小春ちゃん師範金ちゃん小石川この際ユウジでも良い!助けてーっ!」
「どんだけ一氏先輩嫌いやねん」
「しーらーいーしっ!」
「…腹立つわー。あんま妬かせんなや」
「意味分からん!性欲処理なら自分で何とかしろ!それともその名の通り古典の女喰らいになる気か!」
「あっさりンなこと言うなや。…古典の女喰らい?」
「あー、光源氏か。上手いこと言うなぁ、名前」
「え…光って古典ダメな人?」
「現代語使えるんやから古典なんか要らんやろ。何やねん古典って意味分からん。なんで“かなし”が“愛おしい”になるねん」
「や、私古典得意だからその悩み分からない」
「光は現代っ子やからな。しっかし英単語覚えるんは余裕なのに何で古典単語はダメやねんな?」
「むしろ英語こそ要らないよね、私海外旅行する気ないし」
「いやいやいやいや、グローバル化に反逆すんなや。まぁ俺は完璧やから苦手教科なんかあらへんけどな」
「ていうかさ、さっきから当たり前のように白石がいるんだけど?!」
「部長、空気読んで下さいよ」
「いやー名前に救援要請されたから来たんやけどな、光…いくら何でもいきなり押し倒すんはナシやろ」
「そーだそーだ!早く私を解放しろ!」
「しゃーないッスわ」
「………おい、離せ。なんで抱き締められてんの」
「部長、戻ってもらってええッスよ」
「名前、気張りや」
「待て待て待て待て待て待て!助けようぜ白石待てお願い!」
「………名前先輩、」
「な、んでしょうか…?」
「好きや。大人しく俺のになっとき」
「って速攻押し倒すなぁ!私の意志を尊重しろ!」
「は?なんや俺と付き合うんに問題あるんか?」
「え、や、複雑…っ!」
「なんでや、素直になり」
「だから待て脱がしにかかるなぁっ!!」
「しらいしー」
「んー、どないした金ちゃん?」
「なんで財前の頬もみじになっとるん?」
「放っといてやり、光にも色々あったんや」