11月11日
「わぁお」
「見てみんしゃい名前、ポッキータワーぜよ」
「俺のお陰だぜぃ」
部室にて。机の上には色鮮やかなポッキーがタワーとなっていた。ノーマル、極細、メンズ、ムース各種、プリッツにトッポ…とにかく棒状のお菓子は全てコンプリートしたんじゃないだろうか。
「確かに11月11日はポッキーの日と言われてはいるが…、バレンタイン同様メーカーに踊らされているな」
「つか、丸井先輩はしょっちゅうお菓子とか貰ってるッスよね」
「文句があるなら食うなよな」
2人してパイプ椅子に座りながらポッキーを食べている。赤也はまぁ分かるのだが、
「蓮二がポッキー食べてる!」
「………なんだその反応」
「写メって良い?」
「悪いが断る」
「ちぇ」
かなり珍しい絵だと思うのだが。私は開いたケータイを閉じる。
「ブン太ー、これ食べて良い?」
「仕方ねぇな」
ポッキータワーの一番上から極細ポッキーを取る。他の種類も好きだが、やはり一番はコレだと思う。
「名前、」
「な…に、やろうとしてんの!」
くわえていたポッキーの端を食べられそうになって、私は慌てて雅治から離れた。
「ちょっ!仁王先輩何やってんスか!」
「何ってポッキーゲームに決まっとるじゃろ」
「待てよ仁王!それならポッキーを提供した俺にポッキーゲームをやる権限があるだろぃ!」
「うっさい!そもそもポッキーの日はポッキーゲームをする日じゃありません!」
取り敢えずポッキーの箱を持って蓮二の後ろに避難。
「なんだ、俺としたいのか?」
「駄目だコイツら!早く真田部活に来い!」
楽しそうな笑みを浮かべやがった蓮二から離れる。何この四面楚歌。
「なーに俺を差し置いて楽しそうなことしてるわけ?」
「わぁ、来たよ魔王」
部室に現れたのは期待の真田ではなく、精市…神様バカヤロウ。
「なに、そんなに俺とポッキーゲームしたいの?俺、トッポ派なんだけど…」
「知るか!近寄るな!」
シッシと手を振って彼からも距離を取る。
「別に良いじゃろー、減るモンでもあるまいし」
「私の綺麗な心が汚される」
「あぁ、俺色に染めたくなるね☆」
「真田ーっ!!超ヘルプ!」
精市と雅治に捕まったところで真田と柳生が現れて、風紀員2人に彼らが正座で説教をされて………ジャッカルが私の肩を叩き哀れみの目を向けるのは5分後の話。