これが勝負と言うものです
空は晴天。
穏やかな風が心地良い、今日。
カキン…ッ!
「フライ!」
高く上がったボールを見て、ソフト部のピッチャーは叫んだ。
「了ー解っ」
落下点に駆けつけ、空にグローブをつけた左手を伸ばせば、ぽすっとボールは中へと入る。
「3アウト!チェンジ!」
審判の掛け声に、ベンチへ戻る。
「名前先輩!」
「お、赤也。雅治達は?」
「20点差ぐらいついてたから大丈夫じゃないッスかね。それより、俺達この次なんで応援して下さいね!」
「こっちが終わったら駆けつけるよ」
時間短縮のためソフトは5回までだが、現在3回裏0−3…我らがB組のピッチャーはソフト部エースだから、そう簡単に点は取られないだろうが。
「油断せずに行こう」
うん、似なかった。
×××
「フォアボール!」
「幸村からストライクを取れる確率0%…、野球部も不憫だな」
「もはや反則の域じゃないか?」
一塁へ向かって行った幸村の姿を見ながら、ジャッカルは言う。
「お前のサッカーも人のことを言えないと思うが?」
(((テニス部レギュラーはみんな反則だろ…)))
周りにいた生徒は、そう思った。
×××
2・1…
スリーポイントラインから打ったボールは、ゴールの縁を回るように入った。
ビーッ!!
五月蝿いぐらいのブザーが響いて、試合の終了を告げる一瞬前、審判は手を上げてスリーポイントが決まったことを示した。
「どう天才的?」
「別に外しても勝ってたがのぅ」
6−35…その数字を見ながら、雅治は汗を拭った。
「おーい、女子のソフト勝ったってよ!」
B組の男子の言葉に特に驚きはしない。
「まぁ当然じゃな」
「名前のバッティングセンスは本職顔負けだしな」
他の試合が始まるのと、お疲れ様と群がる女子達から逃げるために体育館を出れば、湧き上がる歓声が聞こえた。
「第2体育館は…バレーか?」
「柳生のサーブが決まったに100円」
「俺も。…ってどっちも同じ方に賭けたら意味ねーだろぃ」
「ピヨッ」
盛大に響いたサーブの音から逃げるように校庭へ向かったら、真田が打ったであろう打球が場外ホームランしているのが目に入った。
「「………」」
本職が泣くな、確実に。