ご褒美とか欲しくなる
「俺、ソフト」
「俺もだ。手加減はせんぞ、幸村」
「いや、真田は手加減しねーと怪我人が出るだろぃ」
部室にて、それぞれが球技大会で何に出るのかについて。
ちなみにB組は明日話し合いで決めるから、雅治とブン太はソフトは絶対に避けることが今確定した。
「ソフトだと必ずフォアボールだからつまんないんだけどねー」
「「「………」」」
ハァと溜め息をつく神の子に、一瞬部室が静まった。
「…柳生は何なんじゃ?」
「私はバレーですよ」
「レーザービームは止めてやりんしゃい」
「いえ、負けるわけにもいきませんから」
きらりと眼鏡が光った気がした。A組は総合優勝狙いだろう。
「ブンちゃん、俺らはバスケじゃな」
「だな。どーせサッカーはジャッカルだろうし」
ちなみに立海の球技大会はソフト・バレー・バスケ・サッカーで、男女別学年混合である。
「げ!俺サッカーなのに」
「ドンマイ赤也」
ぽん、とブン太が肩を叩く。
「ジャッカル先輩、ハンデとして出場しないで貰えません?」
「何でだよ?!」
なんてワイワイ騒いでいたら。
「む、なんか楽しそう」
「お前達が球技大会の種目について話していた確率68%、まぁだいたい何に出るかの予想はつくがな」
名前と蓮二が部室に戻ってきた。
「名前先輩と柳先輩は何に出るんスか?」
「まだ俺のクラスは決めていないが、多分バレーだろうな」
「おや、手強いですね」
「名前ー、俺らはやっぱバスケだ」
「他の競技は強敵ばかりナリ」
「あ、予想通りだった?」
ある程度予想していたが、やはりその通りだったらしい。
「そういう名前は?」
「んー、ソフトかバスケの予定。精市はやっぱりソフト?」
「一番楽出来るだろ?」
「選択理由がたるんでるー」
まぁ、彼の場合は他の競技であっても楽が出来そうではあるが。
「しっかし面倒じゃのー。授業よりはマシなんじゃが」
「そんなことを言うものではありませんよ」
「雅治がツレなーい。せっかくなら総合優勝目指そうよ」
名前の場合、転校が多かったせいか学校行事1つ1つを大事にするタイプである。
彼女は雅治の後ろで括られた髪を軽く引っ張りながら言った。
「おや、総合優勝は譲れませんね」
「無論だ。やるからには全力で勝つ」
「いや、君達とは試合しないから」
A組が総合優勝狙いなのは知っていたが、勿論この2人もらしい。
「しかし、総合優勝は各競技の順位を得点化したその合計で決まるからな」
「クラス全体の順位が良くないと総合優勝は難しいッスよねー」
俺のクラスはバスケがなぁ、なんて赤也は愚痴る。
「なぁ名前?」
「なんでしょうかブン太」
雅治の髪を三つ編みにして遊んでいた名前の背に、ブン太が乗っかかる。
「球技大会ん時に何か差し入れして」
「…バスケで優勝するならお弁当を作ってあげよう」
「っしゃ!だってよ仁王!」
「何言っとるんじゃブンちゃん。俺は最初から優勝する気しか無いぜよ」
「ちょっと!先輩らばっかズルい!名前先輩俺には?」
「敵に塩は送ら…や、赤也なら良いや」
「しゃっ!応援に来て下さいね!」
「時間被ってなかったらねー」
来週で、急な感じは拭えないが。
確かに楽しみでもあった。