び出し放送


ピーンポーンパーンポーン♪


昼休み。
誰もが昼食をとっているであろう時間に、間の抜けた校内放送。

今までの俺なら確実に無視していただろうが、最近はそうもいかない。


『お呼び出しを申し上げます。2年D組、切原赤也君。今すぐ生徒会室に面貸s…失礼しました。今すぐ生徒会室に来て下さい。繰り返しません、聞き逃したり待たせたりしたら…わかってるよね?』


ピーンポーンパーンポーン♪


放送の後半はほとんど耳に入っていない。名前を呼ばれた時点で俺はクラウチングスタート。生徒会室へと全力疾走。


「赤也、廊下は走ったらダメだよ?」


「すいませんした!」


「うん、待たせないよう努力した点は良いんだけどね」


にこっと笑う目の前の女は、柳先輩が生徒会な関係で知り合った立海の生徒会長にして、密かに俺が憧れている人だ。


「それで何の用事ッスか?」


この人はゴーイングマイウェイという星の名の下に生まれた(丸井先輩談)
気紛れに俺を呼び出しては何かしらの用事を頼まれたり、英語を教えてくれたり。

ちなみに、待たせると拗ねる。そんなとこもちょっと可愛いと俺は思うのだが、柳先輩曰わく“八つ当たりされる方はやってられない”らしい。


「お昼、一緒に食べるよね」


「へ?」


それが、いつもとは違うパターンで。戸惑った声をあげれば、笑顔。


「あ、拒否ったら絶交だから」


「いやいや、拒否るわけないッスよ!」


慌てて手を振って否定すれば軽くデコピンされた。


「元から拒否権なんか無いけどね。偶には、2人っきりでご飯も良いかなーって」


「!」


あぁもう、本当にこの人は気紛れこの上無いがそんな気紛れならいつだって大歓迎だ。





「先輩、」


「ん?」


お茶を口にしながら、彼女は此方を見る。


「また、一緒に昼飯食っても良いッスか?」

「気が向いたらね」





そう言ったクセに、また呼び出されるのは翌日の昼の話。










……………

素敵企画『青い春』提出。






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