恒例パターン
「…うん、明日からはフツーに学校に行くから」
ようやく帰宅した日の夜。
約1週間振りの布団に寝転がって、友人との長電話。
「それじゃ、また明日。おやすみ」
そう言って電話を切って、ケータイを閉じる。
「………」
学校の準備は出来ているし、合宿時の荷物は片付け終わった。
「早く寝よう」
誰に言うでもなく呟いて、布団の中に潜り込む。
リモコン操作の照明を消して瞼を閉じる。
早く寝て、早く明日が来れば良い。
合宿のせいで、合宿の、みんなが傍に居る感覚に慣れかけていたから余計に…、
1人の寂しさが、堪えるから。
「おはよー」
「はよ。なんか、久しぶりだなこの感じ」
「今までは同じ屋根の下に居たからのぅ」
学校に来て久しぶりの教室と、クラスメート。公欠扱いとはいえ1週間授業を受けていないわけだから、その全部のノートをまとめることを考えるとかなり面倒だ。柳生にでも貸してもらう予定だが。
「でも、学校に居た方が落ち着くよね。合宿も楽しかったけど」
「合宿中は気が気じゃなかったぜよ」
「? なんか心配事あったの?」
いたって普通に尋ねたつもりだが、雅治とブン太に揃って溜め息をつかれた。
「ま、別に良いけど」
「今更じゃな」
「?」
状況把握しかねる私は放置で、そう言えばと。
「もう直ぐだな、球技大会」
「面倒ナリ…」
その言葉に心底面倒臭そうに雅治は溜め息をつく。
「サボリはナシだかんな仁王!」
「嫌じゃのぅ」
ばたんと顔を横にして机に付けた彼の頬をふにふにといじりながら、私は尋ねる。
「そんなに嫌なの?」
「負けると真田が五月蝿い」
「テニスじゃねーのに」
「あぁ…」
確かに。彼は五月蝿そうである。
「男女別だから名前は良いよなー」
「幸村とは当たりたくないダニ」
「いやいやせっかくの球技大会なんだからテンション上げて行こうよ」
今にもサボるとか言い出しそうだ。
確かに精市や真田とは当たりたくないが。
「ていうか、いつだっけ?」
そろそろだという感覚はあるがいつだったか覚えていない。
ぷーっと膨らんだガムが弾けた後に、彼は言う。
「来週」
またこのパターンか。