What's your name?
「嫌です面倒臭い」
「拒否権があると思ってるの?」
おい誰だよこんな男部長にしたヤツ。
ていうかこの人(名前覚えてない)友人曰く“文武両道で儚げで優しくて美しいまさに理想の王子様”とか言ってた気がするのだが………噂って怖い。
「別にいーだろー?名前部活入ってないんだし」
「俺らには名前しか居ないんじゃよ」
「いやいやこの学校で私だけってことは有り得ないから。頑張って探しなよ」
ていうか何故コイツら(雅治とブン太)は両サイドで私を確保しているのか。
(逃げようかな。あ、でも真田から逃げるのって面倒過ぎる)
ぐるぐると思考を回していたら当の真田に言われた。
「急なのは分かっている。しかし幸村や俺達が納得出来る理由が無いのなら此方に引く気はない」
「う…、」
彼の事は苦手ではないが、敵にしたくないタイプではある。
というか常勝を掲げる彼らは全員味方なら頼もしいが絶対に敵にしたくない連中ばかりだ。
「剣道なら引き分けても、押しには負けるらしいな」
「………」
糸目(名前分からない)の言う通りだ。
譲れない感情があるわけでない時の私は押しに弱い。逆に譲れない何かがあれば絶対に負けない自信はあるが。
「わかったよー。至らなくても私悪くないからね」
降参とばかりに両手を挙げれば、両サイドの2人とワカメ的髪型の彼が目を輝かす…っていうか。
「しかも君もテニス部だったのか」
「え?!覚えててくれたんスか…!」
「なんじゃ赤也と知り合いか?」
「いつの間に…!」
いやいつの間にってつい昨日今日レベルの話な上知り合いというか…、
「廊下でちょっと」
「先輩それは言ったら…!」
「また廊下を走ったんですか?」
「たるんどる!」
眼鏡の彼と真田の目が厳しく光る。
あ、眼鏡の彼は風紀委員か。真田同様厳しいとか言われてた気がする。
「早速だが渡しておこう」
赤也(雅治が呼んでた)の説教される様子を眺めていたら先ほどの糸目(だから名前が分からない)に入部届を渡された。
「紙飛行機にして飛ばしても良い?」
「そんなこともあろうかとあと4枚あるからな。どれか1枚はまともに書くなら構わない」
「…何この敗北感」
「そいつには勝てないと思った方が良いぞ…って本当に折るのか!」
ちょっと凹みながら紙飛行機を折ってたら褐色肌の…ジャッカル(だった気がする)に言われた。
「お、イカ飛行機。俺にくれよ」
「あ、じゃあもう1枚」
「…1枚はちゃんと書けよ?」
さらっと折ったイカ飛行機をブン太に渡せばおぉーよく飛ぶーと早速遊び始めた。
「まぁ、何はともあれ宜しく名前。放課後に来なかったら殺s…許さないからね?」
「立海の連中はみんな距離縮むの早いなー。あといくらなんでも君には殺されないよ」
もう1つのイカ飛行機を彼に向かって飛ばして、そう言えばと。
「自己紹介してくれないかな?名前が分からなくて不便なんだ」
爽やかな笑みのまま、くしゃりと飛行機を潰された。