しいほどに抱きしめて

最近はすっかり寒くなってきて、人肌恋しいこの季節。


「重い」


「気のせいだろぃ」


「いやいや、君は少し痩せるべきだと思うよ?」


「スタミナ落ちる」


「スポーツマンらしいこと言ってるけど原因はお菓子やらジュースの暴飲暴食だからね?」


風の冷たい屋上に、2人きりで抜け出すのはよくあること。

偶に仁王も混ざるけど、今日は来てなくて。
そのせいかどうかは分からないけど、彼はいつもより甘えたいらしい。
後ろからぎゅーっとされるのは、丁度寒かった首を風から守れるけど、背中に体重がかかって重い。


「あったかいだろ?」


「もうちょっと軽かったら完璧」


「うるせっ」


自分の頬に擦り寄る、ちょっとだけ暖かい頬。


「あー、柔らけぇ。食ってみて良い?」


「あはは、ふざけんな。食べ物じゃありません」


「いやいや一口」


そう言って、彼は私の頬を甘噛み。
うん、屋上だし、誰も見てないとしてもね?


「顔、真っ赤」


「わざわざ言うな」


ぎゅう、と肩からかかるブン太の両腕を引っ張って俯く。
そしたら、彼は更に体重をかけて、強く強く抱き締めてくる。


「………重い、苦しい」


「愛の重さ、みたいな?」


「うん、病院行く?」


「冗談」


実は結構本気で重い。…のだけど。


「あったかい」


「な?俺もあったかい」


ぎゅうぎゅう。
少し苦しいのがかなりの難点だけど、こんなのもきっと悪くない。


冷たいけど、穏やかな風が前髪を撫でて通り過ぎる。


「…ブン太、」


「ん?」


「やっぱり離せ」


「却下」



うん、やっぱりちょっと苦しいよ。















……………

素敵企画『板挟み』提出。






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