帰るまでが合宿です。
「額が痛いんですけど精市さん」
「名前が隙を見せるのが悪いんだろ」
「白石とちゅーしてたナリ」
「でこちゅーッスよ」
「不純異性交遊ですね」
「けしからんぞ名字!」
「何やってんだよぃ」
「助けてジャッカル」
「………俺には無理だ」
「助けて蓮二と言おうと思ったけど止めた」
「ほぅ、学習したか」
帰りのバス内。
蔵の予想外の行動はバッチリ立海面子に見られていて精市にウェットティッシュ(消毒用アルコール配合)で額をごしごしされて痛い。
余談だが青学の英二・桃、そして氷帝の侑士・岳人・長太郎からもそれに関するメールが来たが全てスルーした。
「白石、次会ったら覚えておきなよ」
「蔵に何かしたら怒るからね」
本当に何かやりかねないからこの人達は困る。
「何言っとるんじゃ、先に俺らを怒らせたのは向こうぜよ」
「そうだぜぃ。つーか、名前も忍足君の時みてーに正当防衛しろよな」
「ていうかいくら白石サンと仲良いからって油断し過ぎッスよ!」
「鍛錬が足りんな、たるんどる」
「あれ?私が悪いの?」
「名前に隙があったのが悪い」
「…理不尽」
疲れた。本来なら窓にでも寄りかかりたいが、両サイドには精市と雅治。もはや定位置になっている。
「白石ズルいナリ」
「雅治君、重いです」
「ブンちゃんよりはマシじゃ」
「さりげに喧嘩売ってんじゃねーよ仁王」
ずるずると体重をかけてくる雅治が重い。ちなみに精市はちゃっかり肩に頭を乗せてやがる。
帰りのバスぐらいゆっくりさせて欲しいそして眠い。
「不純異性交遊の罰じゃ」
「不純じゃないし」
「真田に訊いてみようか?」
「やぎゅでも可じゃ」
「跡部なら海外じゃキスぐらい挨拶だーって言ってくれるのにー」
「諦めろ名前、此処は日本だ」
「ジャッカルに言われた…っ!」
「悪いかよ?!」