両想い(X)





敵だなんて、分かってる。



私はカオス側の人間で、彼はコスモス側の人間だから。


でも、理屈で感情は制御出来なくて。


想うだけで切なくて。

その真っ直ぐな目で見て欲しい。
その声で名を呼んで欲しい。
その手で私に触れて欲しい。



「会いたい…」



けど、会ったら殺さないといけない。
それが君と私の運命で。

どうしたって変えられなくて。



「…、好き」





だからせめて私が、貴方を………。





+++





敵だなんて、分かってた。



俺はコスモス側の人間で、彼女はカオス側の人間だから。


でも、理屈で感情は制御出来なくて。


想うだけで切なくて。

その真っ直ぐな目で見て欲しい。
その声で名を呼んで欲しい。
その手で俺に触れて欲しい。



「会いたい…」



けど、会ったら殺さないといけない。
それが君と俺の運命で。

どうしたって変えられなくて。



「ミラベル…、」





だからせめて俺が、君を………。










+++










酷い雨の中、彼は立っていた。


「バッツ…、」


会いたかった。
本当に会いたくて、恋い焦がれた。


「ミラベル、」


薄く彼は笑って、私を手招いた。


「俺さ、やっぱり好きなんだ…ミラベルのこと」


雨音が煩くても、その声はハッキリと私の耳に届いた。


「バッツ…」



その言葉に感極まると同時に、私の左腕は喪失した。



「あ。」


呆気なく斬り飛ばされ、腕からは血が吹き出す。


「ミラベル、好きだ。
だから…、俺に殺させてくれよ?」


私は自らの武器を引き抜き、最愛の人へと突きつけた。


「私達、両想いね」


狙うは首。
せめて、苦しまずに殺したい。


「そっか、それは良かった」


穏やかな表情の裏に、油断出来ない殺気が含まれる。










歪んでるなんて、そんなことない。
この一途な想いが歪むハズないでしょ?


















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