両想い(X)
敵だなんて、分かってる。
私はカオス側の人間で、彼はコスモス側の人間だから。
でも、理屈で感情は制御出来なくて。
想うだけで切なくて。
その真っ直ぐな目で見て欲しい。
その声で名を呼んで欲しい。
その手で私に触れて欲しい。
「会いたい…」
けど、会ったら殺さないといけない。
それが君と私の運命で。
どうしたって変えられなくて。
「…、好き」
だからせめて私が、貴方を………。
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敵だなんて、分かってた。
俺はコスモス側の人間で、彼女はカオス側の人間だから。
でも、理屈で感情は制御出来なくて。
想うだけで切なくて。
その真っ直ぐな目で見て欲しい。
その声で名を呼んで欲しい。
その手で俺に触れて欲しい。
「会いたい…」
けど、会ったら殺さないといけない。
それが君と俺の運命で。
どうしたって変えられなくて。
「ミラベル…、」
だからせめて俺が、君を………。
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酷い雨の中、彼は立っていた。
「バッツ…、」
会いたかった。
本当に会いたくて、恋い焦がれた。
「ミラベル、」
薄く彼は笑って、私を手招いた。
「俺さ、やっぱり好きなんだ…ミラベルのこと」
雨音が煩くても、その声はハッキリと私の耳に届いた。
「バッツ…」
その言葉に感極まると同時に、私の左腕は喪失した。
「あ。」
呆気なく斬り飛ばされ、腕からは血が吹き出す。
「ミラベル、好きだ。
だから…、俺に殺させてくれよ?」
私は自らの武器を引き抜き、最愛の人へと突きつけた。
「私達、両想いね」
狙うは首。
せめて、苦しまずに殺したい。
「そっか、それは良かった」
穏やかな表情の裏に、油断出来ない殺気が含まれる。
歪んでるなんて、そんなことない。
この一途な想いが歪むハズないでしょ?