腕の中の眠り姫([)
「………」
スコール・レオンハート(17)はソファに座りながら困っていた。
(なんで、この体勢で寝る…?)
自分の膝に頭を乗せ寝息を立てるミラベルの存在に。
要するに膝枕でありどうせなら、するよりされたいとかそんなことはさて置き。
「………」
すやすやと規則正しい寝息を立て、完全に安心しきった無防備な顔をされ起こすに起こせない。
が。
(……………)
普段は無愛想で無口で実年齢より老けて見られがちでも、青春真っ盛りの17才で。
「ミラベル、起きろ」
その白い頬に軽く触れれば、小さく呻く。
嫌がるように表情をしかめられ、寝かせてやりたい気にもなるがそれだと自分が困る。
「起きろ、寝るなら部屋にしてくれ」
「ん、ぅ」
ぺちぺちと頬を叩けば、嫌々と言った感じでミラベルは体を起こす。
「すこー、る?」
まだ寝ぼけた状況で彼女は問う。
「あぁ。寝るなら部屋に行け、風邪なんかひいたら……っ!!」
言葉の途中、彼にはストップがかけられた。
勿論ミラベルは魔法なんて使えはしないが…、
「ん…」
想い人にいきなり真正面から抱きつかれ、機能が停止したらしい。
「ミラベル…?」
「うん?」
いや、耳元でそんなに可愛い声だすなよ。
「寝ぼけてる、のか?」
その言葉を否定するように首をふられても、まったく信憑性がない。
「………」
どうしたものかと困っていると、不意に抱きつかれた腕に力が籠もる。
「…れたから、」
「?」
「傍に…、たい」
途切れ途切れの言葉は伝わらないが、どうやら離されてくれそうもない。
「………」
また寝息をたてはじめた彼女の頬に触れ、口付ける。
(これくらい、良いだろ)
言い訳のように内心で呟いて、彼はミラベルを抱き直した。