夢想とkiss(])
−−−どちらかと言えば、あまり嫉妬しないタイプだと思っていた。
ティーダは人当たりが良い。
それは男女関係なくで、彼の性格故だと分かっているし…そんな所に惹かれたのも本当。
クラスの人気者を絵に描いたような存在で、他の子がティーダに想いを向けるのも仕方ないとは思う。
けど…。
「あの…、好きなんです…っ!」
「………」
別に盗み見るつもりは無かった。
というか、自分の恋人が他の子に告白されるシーンなんか自ら好んで見たくない。
(…教室で告白とか、止めてよね)
日直の仕事で職員室から戻ったら、見知らぬ子が教室で告白していた。
上履きの色から察するに1つ下の学年か。
(教室に荷物残ってんだから他の人来るとか考えてよ〜)
それとも、そんなことも考えられないぐらい必死なのか。
−−−どちらにしても、気分が悪い。
モヤモヤした感情が薄く胸に広がって、そのまま緩く締め付けてくる。
「悪い…俺、恋人居るから」
(………)
あっさりと断るティーダに、告白した子には悪いが嬉しくなる。
「でも、私!私の方が先輩のこと…っ!」
尚もなにか言い続ける子に、彼は静かに言った。
「俺にとって一番大事なのは彼女だけだから」
だから諦めて欲しいと。
そう言った後、泣きながらその子は教室を飛び出して行った。
「………あーあ、泣いちゃった」
完全に姿が見えなくなってから教室に入ると、困ったような表情でティーダは応える。
「やっぱり、見てた」
「見ようと思ってたワケじゃないよ。
自分の彼氏が他の子に告白されるシーンとか、気分悪いでしょ?」
苦笑して彼の鼻をつまむ。
「俺はミラベルしか興味ないのにな」
そう言って彼は、私の体を引き寄せる。
「此処は教室ですよー?」
「見せつけたいんで」
そう言って、触れるだけの口付けをかわす。
「ね、ティーダ」
「ん?」
抱き合ったまま、私は尋ねる。
「“一番大事なのは彼女だけ”って、本当?」
「当たり前」
強くなる腕の力に安心感を覚えていると、今度は逆に問われた。
「…嫉妬した?」
「…結構」
「そっか」
そして再び訪れる唇の温もり。
「俺がこうして抱き締めるのもキスするのも、ミラベルだけだ」
「………知ってる」
赤面した顔をティーダの肩に押し付けて、そう言った。
わたしだけにキスして
……………
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確かに恋だった〜ッス口調じゃないティーダにチャレンジしたら大変でした。
いや後輩とか同級生にはタメだと思って。