39:BRV回復力+50%
「うん、やっぱり似合う!」
「あの…」
「流石ティナ!わかってるなぁ」
「あのさ」
「可愛いし、良いんじゃないかな?」
「だから、」
「ミラベル、すっげー可愛いッス!」
「うん、ちょっとみんな黙ろうか」
今にも飛びかかって来そうなジタンとティーダを避け、嬉々とした様子のティナに尋ねる。
「なんで…、よりによって…」
正直ちょっと恥ずかしいのだが、気にした様子もなく彼女は言った。
「可愛いから!」
その言葉に同意するよう、セシルも頷いた。
「よく似合ってるよ。
−−−“ねこみみフード”」
「一発殴っても良い?」
私の着ているのは、普段の制服ではなく“ねこみみフード”
と言っても正確には“ねこみみフード付きパーカー”と言った所だ。
なぜこんなモノを着る羽目になったかと言うと………、話は少し遡る。
+++
「この力で!」
「躊躇い皆無でメルトン発射?!」
ことのきっかけは、ティナとガレキの塔に行った時のこと。
偶々、本当に偶然ケフカを発見した彼女は一緒の迷いもなくメルトンを放った。
「わわわ、ぼくちんは今戦り合う気は…っ!」
「天の嘆きよ…っ!」
問答無用の戦闘に、流石に慌てたらしい道化はミラベルに近寄った。
「ちょっとミラベルちゃん、どうにかしてよ〜」
「いや、私に関係な…、」
「悲しみの水泡よ!!」
軽くあしらおうとしたら、ティナのフラッドが発動しケフカがそれを避けて…、
「あ!」
魔力を失った水が、重力に従って落ちる。
「あ」
「え?」
ザバッと、頭から水を被りました。
+++
で・現在。
取り敢えず風呂には入ったが、ブレザーばびしょ濡れ。
スカートは大したこと無かったし、中に着るブラウスはモーグリから買った代えがある。
が。流石にちょっと寒いし、湯冷めする。
そんなコトを思っていたら、嬉々とした表情のティナから渡されたのが…“ねこみみフード”
−−−これを渡したのが彼女以外なら、その場に叩きつけたものを。
仕方なくミラベルはねこみみフードを着る羽目になったのだ。
勿論、フードはちゃんと被らないといけないと厳命されたので被っている。
そしてハートを飛ばしまくってるティナに可愛い可愛いと絶賛されるのだが…、複雑な心境だ。
「良いな、ミニスカートにねこみみフード」
「しかも袖がちょっと長いのが…」
しげしげと眺めるジタンとティーダを睨むも、彼らはどこ吹く風。
「ミラベルー、今日料理当番だ…ぞ?」
そんな時、本日ミラベルと料理当番であるバッツが現れて…彼女の姿を見て止まる。
「かっわいーな!なんでねこみみ?」
「ブレザーが濡れたから、代用」
拗ねたように返せば、ジタンがあっ、と挙手した。
「バッツ!俺と当番代われ!いやむしろ代わって下さいお願いします」
「ダメに決まってるだろ〜?
こんな可愛いミラベルと2人きりのチャンスなんだから」
「違う!いやそれもだけど、ねこみみフードにエプロンだろ?!」
「「「……………」」」
瞬間、その場の空気が止まった。
「ティナ!可愛いエプロン無いッスか?」
「え、普段使ってるのか…“鉄のエプロン”しかないけど」
「あー!もっと可愛いの買っておけば!」
「あったとしても私は着ないからね!まだ“鉄のエプロン”のがマシ!」
余談だが普段使ってるシンプルなエプロンはフリオニールが作り、鉄のエプロンはウォーリアが拾ってきたらしい。
何故彼が拾ってきたのかは果てしない疑問だが。
「まぁフツーのエプロンでも可愛いだろ。
あ、俺は今日食事要らない。この可愛い仔猫食べr「フリオー!一生のお願い、当番代わってー!」
バッツの言葉を遮り、ミラベルは声を上げた。
今日はフリオニールが料理することになりそうだ。
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