弐:school×trouble.m
「ストラーイク!バッターアウトチェンジ!」
本日は球技大会。
この学園は球技大会を2日にわたって行うが、その初日。
学年は関係なく男子はサッカーかバスケ、女子はバレーかソフト。
女子ソフトに4番でピッチャーを務めるミラベルは、今のところ完封だった。
「流石だなミラベル!」
「あれ、バッツ試合は?」
攻守交代でベンチに戻ったミラベルのもとに、バッツが現れた。
「俺らはシードだから試合は午後からなんだ」
「あぁ、ジタンとバスケだっけ?」
ちなみにティーダとスコールはサッカーで、ティナはバレーである。
「3年はウォーリアとセシルがバスケらしいぜ!」
「カイン先輩もでしょ?セシル先輩が張り切ってたなぁ…」
3年のC組とD組は何かと対立することが多い。
今年の組み合わせ的に、彼らが当たるのは準決か決勝だろう。
「バッツー!バレーの試合始まるみたいだ、応援行こーぜ!」
そんな時、嬉々とした様子でジタンが駆け寄って来た。
「お!やっぱりミラベルだったか。
今のとこ完封らしいな!」
「今年は皇帝がソフトに出るらしいから」
晴れやかな笑顔に、バッツとジタンは思った。
((デッドボール狙いか…))
フリオニールが聞いたら応援しそうである。
「あ、やべ始まる時間だバッツ!」
「おう!また後でなミラベル!」
そう言って彼らは嵐のように去っていった。
「ティーダ!」
「任せろ!」
スコールのパスしたボールは宙を舞い、完璧なタイミングでオーバーヘッドキック。
ネットを破くかの勢いで華麗なシュートが決まり、歓声が湧き起こった。
「ナイスパス!」
「ナイスシュート」
満面の笑みを浮かべたティーダと、いつもより柔らかい表情のスコールがハイタッチを交わす。
「今年こそは親父を倒してみせるッス!」
現在3−0。
残りの時間を考えると、勝ちは確定したも同然だ。
(油断すべきではないな)
慢心こそが隙を生む。
別にジェクトとの戦いに興味は無いが、どうせやるなら勝ちたい。
それに…。
(アイツも、喜ぶだろうしな)
皇帝にデッドボールを喰らわせようとする数学嫌いの彼女を想い、彼はボールを追った。
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