27:思わぬ侵入者






「ミラベル…、」


ぎゅっと後ろから抱きしめられて、肩に顔をうずめられる。


「……………」


ちなみに私は機能停止。

え、なにこの展開。
ちょっ心臓五月蝿いんだけど、え?


「あの…っ、」



誰か確かめようと首だけ振り返ると…、










「−−−−−……‥、」


うっすらと目を開けると、見慣れた天井が広がった。


(夢、だよね)


夢で良かったと安心する。
よくわからないけど、凄くドキドキして心臓が破裂しそうだったから。


(起きよ)


ちょっと早いが、もう朝だ。


身を起こそうとした時、腰のあたりから強い力で抱き寄せられた。


「はい?」


身を引かれ、その犯人である男の腕の中に閉じ込められ………混乱。


「バッツ…?」


ここは間違いなく私の部屋で、布団の中にはバッツがいて、私は彼に引き寄せられかなり至近距離にいて、要するに布団の中でバッツに抱きしめられていて…。


一気に熱が顔に集まる。


「バッツ!起きて!!」


取り敢えず離して貰おうと起こすつもりで大きな声をあげると…、


「むにゃ、アロワナのエサは…、スルメじゃない」


普段ならどんな寝言だと全力で突っ込みたい。が、現状がそれを許さない。


「起〜き〜て〜っ!」


懸命に離れようとすると、より腕の力は強くなる。


「バッツ〜っ!!」


駄々をこねるように喚けば、束縛していた力がなくなる。


「!」


やっと起きたのかと思えば………、


「ミラベル…、」


妙に熱っぽい声に、思考を奪われる。


「バッ…、」


起きてと言うつもりだった。

しかし、寝ぼけ眼のバッツは私の身を押し倒すように真正面から抱きしめて………再度寝息を立てた。



「○×■§#q々Ы※l◆@Ω〜っ!!」





声にならない絶叫が、家中に響いた。















「「ミラベルっ?!」」


ミラベルの叫びに、彼女と部屋の近いジタンとフリオニールが駆けつけた。


「どうした…、」


扉を開け、絶句した。


彼女のベッドの上で、赤面するミラベルに覆い重なるようにバッツはその身を抱きしめる。


つまり、バッツがミラベルを押し倒しているようにしか見えなくて。


「なっ、な…っ!」


赤面する童貞改めてフリオニールはさておき、ジタンはゆらりとベッドに近寄る。


「起きろバッツ!!!」


「ぐあっ!」





後の話によると、“ジタンは拳でも十分に戦える”というフリオニールの言葉と、“肋骨が砕けたかと思った”とのバッツの言葉があった。








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