25:敵陣のド真ん中で




ミラベルが外に出たいと言うので、俺(スコール・レオンハート)とバッツはコーネリア平原にいた。

ここらのひずみは解放してあるし、敵も少ないからだ。


「もーぐり!」


「…ふかふかし過ぎクポ」


ミラベルはモーグリを捕まえ抱きしめていて、その姿を見たバッツは言う。


「ティナが見たら喜びそうだなー」


確かに彼女は可愛いものが好きで、モーグリやら小さくなったミラベルをよく可愛がっていた。



「本当に小さくなってしまったのですね」


「「!!」」


突如舞い降りた声に、俺はガンブレードを出現させミラベルの元に駆ける。


「おっと、無粋な真似は止めてもらおうか」


その寸前で皇帝が目の前に現れ、地上に雷の紋章を仕掛ける。


「スコール!」


呼ばれるまでもなく俺はその罠を回避するが、ミラベルとは離れてしまう。


「これで…っ!」


バッツがアルティミシアに向かってホーリーを放つが、簡単に弾かれてしまう。


「ミラベルは頂いていきます」


「すこーる!ばっつ!」


不安そうに名を叫ぶ声を残して、ミラベルは魔女と共に消える。


「クソ…ッ!」


「ふ、己の無力を嘆くと良い」


そう言い残して皇帝は消えた。


「スコール、大丈夫か?!」


「あぁ。追うぞ、バッツ」


互いに頷き、彼らは駆け出した。















「おー、本当にちっせぇな!」


「面影はあるね。どちらにしろ可愛らしいが…」


「ふむ、実に興味深い」


「ふぇ…っ、」


ジェクト、クジャ、ガーランドは普段ミラベルと親しい方ではあるが、幼くなった彼女にしてみれば外見的に怖くて仕方ない。


「お主ら…、脅かしてどうする」


「ガーランドは自重せよ」


それを見て気の毒に思い、かつ自らが近寄れば泣かれるだろうと自覚している甲冑コンビは彼らを諫める。


「確かに、君達2人は自重すべきだ。こんなにか弱い存在には害にしかならない」


「まぁお前の言うこともわかるけどよ、お前だってビビられてんぞ?」


「というか貴様らは何でミラベルで和んでいるんだ!」


責任転嫁しあう彼らに皇帝は一喝した。


「可愛らしいので良いじゃないですか」


宥めるようにアルティミシアは言うが、矛先が彼女に向かうだけだった。


「貴様も!ミラベルに興味があったのではないのか!」


「調べても私の得たい結果が出なかったので。
やはり原因は分からないようですね」


軽く返した言葉に、少し意外そうにゴルベーザは言った。


「時の魔女でも、原因は分からないか」


「えぇ、元よりミラベルには魔術も効きませんでしたし…」


そのまま話し込む2人に皇帝は諦めたように溜め息をはいた。


「つぅかよ、オメーはなんでお嬢ちゃんを連れて来たんだ?」


「………懐かれるのが早いな」


先ほどまで半泣きだったミラベルはすっかりジェクトに慣れ、肩車されている。

ちなみに一瞬に連れて来たモーグリは召喚石になって彼女の手にある。


「泣き虫の扱いには慣れてるからな。で、さっきの答えは?」


「貸しを返して貰おうと思ったのだが…、暗闇の雲とセフィロスに奇襲された」



(((だから逃げて来たのか)))



その言葉に、この場にいた全員の心が一致した。


「あの2人は特にミラベルがお気に入りだからねぇ」


クジャは彼女を見るが、本人は小首を傾げている。


「まぁ、コスモスの駒を釣る餌にはなるだろうからな。

少しは役に立って貰おうか」


「やだ」


ミラベルに触れようと伸ばされた手を叩き、彼女は舌を出して言った。


「逃げ惑え!!」






意味が無いとは知りつつも、衝動的にフレアを放つのを彼は止められなかった。













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