24:動き出す
結論:コスモスもどうしてこうなった分からないらしいから元に戻るまで待つしかない。
追記:可愛いし別にいーじゃん。
「ほーらほら、捕まえてごらん〜」
楽しげなジタンの声。
「ん〜っ」
ミラベルは一生懸命手を伸ばすが、あと少しというところで捕まえられない。
「すっかりハマってるな…」
必死に尻尾を捕まえようとする彼女を、クラウドとフリオニールは眺めていた。
「ジタンの尻尾は特にお気に入りだからな」
直ぐに懐かれたのはティナとスコール、それからセシル(ただしパラディンに限る。暗黒騎士は泣かれた)
よく遊ぶのはジタンにティーダあたりだが、基本的に彼女は人懐っこいらしい。
「また尻尾で遊んでるな」
そこに先ほどまで出ていたバッツが現れた。
「おかえりー」
その姿を見つけたミラベルはてけてけとその足元に駆け寄る。
応えるように抱き上げて、目線を合わせる。
「おぅ、ただいま!」
抱えられきゃっきゃっと楽しそうな彼女とは反対にジタンは不満の声をあげる。
「邪魔するなよなー、バッツ」
せっかく俺と遊んでたのにと付け足すが、彼は素知らぬ顔だ。
「別に俺は邪魔してないぞ。なー?」
「なー」
バッツに合わせてそう言った彼女に、すっかり毒気を抜かれてしまう。
ふわふわとした空間が、そこにはあった。
一方その頃、ぴりぴりとした空間が此処にはあった。
「ミラベルが幼子に?」
宙を舞う露出狂に問い返せば、彼は言った。
「原因はわからないらしいけどね。彼女には魔法が効かないし、君の能力が何かしたのかとも思ったけど…どうやら違ったみたいだね」
そのまま何処かに飛んで行ってしまったクジャをそのままに、時の魔女は思案した。
(ミラベルには魔法は効かない。私の時の呪縛からも逃れた…)
興味深いとばかりに思案している所を、見慣れた男に声をかけられる。
「気になるのか?」
「誰かと思えば、ミラベルに弁慶を泣かされた男ですか」
その言葉に皇帝は沈黙した。
彼はミラベルと初対面の時、脛を蹴られている。
その現場をたまたま目撃したケフカによって、カオスに属する者は全てその話を知っている。
「それはともかく、気になるのは貴方も同じなのでは?」
「………私は貸しがある」
低く呻く声にアルティミシアは溜め息をつく。
「自業自得という言葉を知っていますか?」
「黙れ、私は仕返さねば気が済まんのだ」
無意味に復讐に燃える男に呆れながらも、彼女は自らの興味のため少しだけ話に付き合った。
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