21:それは爽やかな朝のこと
普段のミラベルは、規則正しい生活を送っている。
最近は不調故に寝ていることも多いが、朝はだいたい変わらない時間に起きてくる。
それでも、ごく偶に寝坊する時は誰が起こしに行く。
今日はそれがウォーリアだった。
「ミラベル?朝だぞ」
軽くノックをしても返事がない。
「ミラベル?」
再度名前を呼ぶが、返事がない。
何事かあったか、とは思うが敵襲の気配は無かった。
やっと元気になったー!とかはしゃいでいたから、体調不良は考えにくい。
まだ寝ていたとしても、いつもはノックに敏感に起きるのだが…。
(…女性の部屋に無断で入るわけにもいかないな)
バッツやジタンやティーダなんかは結構無断で入っているが、その点彼は真面目だった。
「どうしたんだ?ミラベルの部屋の前で」
どうしようかと悩んだ所に、バッツが現れた。
「バッツ。いや、ミラベルが起きてこなくてな」
「ミラベルが?
おーい起きろー!朝飯食いっぱぐれるぞー!」
ウォーリアの時より手荒く扉を叩けば、ゆっくりと扉が開く。
「なんだ、起きてるなら返事ぐらい…」
「!」
部屋から出て来た人物に、2人は揃って目を丸くした。
「だぁれ…?」
其処には、小さな幼子が小首を傾げて立っていた。
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