07:無力?その正反対
「なんで君は危険を承知で、1人で出歩くんだ?」
コスモス議会の後、ウォーリアにそう問われた。
「みんなの邪魔をしたくないから」
その問いに即答して、続ける。
「私って、コスモス側でもカオス側でもないし特に強いワケでもない。
じゃあ戦い以外で何かの役に立つかって、そうでもない」
「そんなことは…、」
「あるよ。自分が一番わかってる」
自虐的になりたいんじゃない。
そもそも私に自虐癖はない。
−−−だから、私が言うのは只の事実。
「私はどうしても元の世界に帰りたいワケじゃないけど、こっちの世界に居ても仕方ない。
なら、せめて1人で………って、え?!」
ウォーリアの左手が私の頭を引き寄せ、抱き締められる。
「あの、え、ウォーリア?」
急な出来事に、焦る。
だから近い近い近い近い近い…っ!(2回目)
「すまない」
「な…んで謝るの?」
別にウォーリアは悪くない。
むしろ、私を押し付けられても心配してくれて…良い人過ぎる。
「私は、君の気持ちを何も理解していなかったようだ」
「まぁ言ってないし…。ウォーリアは悪くないよ」
返せば、ふるふると首を横に振られる。
「いいや。君が自分の立場を不安に思わないはずがないのに、君の振る舞いに甘えていたようだ」
「振る舞いって、強がってるワケでもないよ。結構こっちも楽しいし」
その言葉に、彼の表情が柔らかくなる。
「ミラベル、2つだけ覚えていてほしい」
「?」
小首を傾げれば、抱き締められていた腕から解放されてウォーリアの真っ直ぐな瞳と目が合う。
「1つは、やはり1人で出歩くのは止めてくれ。何かあってからでは遅いからな」
「………もう1つは?」
先ほどの議会を思い出して、拗ねた気分になる。
でも…、
「私は…君を邪魔だなんて思ったことはないし、君は自分で思うより無力じゃない。
こう言っては不謹慎かもしれないが…、」
その言葉の先を聞いたら、全てがどうでもよくなった。
「この世界にミラベルが来てくれて、本当に良かったと思っている」
+++
「あーぁ、やっぱりカッケーな。流石は光の戦士だぜ。
………レディを勇気づけるのは、俺の仕事だったのに」
「完全に出遅れたな」
2人の様子を、隠れ見ていた人物がいる。
「スコール、今のうち言っとくけど…負けないからな!」
「言ってろ」
ジタンを軽くあしらって、スコールは自室へと向かう。
「(無力じゃない…、か)」
盗み聞いた台詞が、脳内で浮かぶ。
「(俺にとっては、強過ぎるけどな)」
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