06:コスモス議会と逃走理由
「と、言うわけで…」
あの後30秒足らずで捕獲された私は、今現在コスモス議会−−−ウォーリアを議長とするコスモスの戦士達の間で行われる議会。見回りからお風呂の順番まで様々なことがコレで決まる−−−によりとある決定が下された。
「ミラベルがあまりにも1人で出歩くので、これからは見張りを付けようと思う」
「意義あり」
ウォーリアの決定に右手を挙手するが見事にスルー。
議題は誰が見張りになるかに移っていた。
「意ー義ーあーりー」
「初めに今回はミラベルの意見は通らないって言っただろ?」
ふてくされる私の横でセシルが言う。
「だいたい、何回も叱られてるのに何で1人で行くんだ?」
「風に呼ばれて」
フリオニールの問いに至って真顔で答えると、ジタンがバッツに向き直る。
「………お前のせいじゃないか?」
「なんだよ、なら俺と一緒に旅に出ようぜ!」
輝かしい笑みは爽やかで眩しい。
いま、まぁ確かにバッツとなら旅に出ても良いけど…ってそうじゃなくて。
「最初からこうするべきだったな」
「ある程度見張ってはいても…、いつの間にかいなくなってるしね」
実年齢より大人びた2人は呆れている様だ。同い年と年下のクセに…。
「でも、見張りが居てもミラベルなら…なんとかして逃げられそう」
「確かに…。ウォーリア、見張りは最低2人欲しいな」
「あ!余計なことを…!」
ティナとクラウドの発言に、ウォーリアは確かに…と頷いている。
「えーっ、俺から逃げるなんてまず無理だから、1人で十分ッスよ!」
「ティーダ、お前それミラベルと2人で居たいだけだろ。
それに、それなら俺だってそうだぜ。…狙った獲物は逃がさないってね」
「私はいつから盗賊の獲物になったの?」
はぁ…と溜め息をつけば、小さくクラウドは呟いた。
「狙ってるのは盗賊だけじゃないがな」
「?」
しかし、あまりの小声に聞こえない。
「とにかく1人は却下だ。ミラベルを逃せないからな」
「議長ー、人を重罪人みたいに言わないで下さい」
「“脱走罪”か?」
「それから“約束詐称”に、“心理的暴行罪”かな?
居なくなるたび気が気じゃないんだから」
フリオニールとセシルに立て続けに言われ、流石に言葉に詰まる。
「ま・女の子の1人旅は禁止!ってことさ」
「むー」
だから、たとえ女の子だとしても1人旅しそうな人には言われたくない。
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「にしても、なーんでミラベルは1人で出歩くのかな?
嫌われてないとは思うんだけど…」
オニオンナイトとティナ、それにバッツがその場には居た。
「迷惑かけたくないから、か?
心配させられるぐらいなら、迷惑かけてもらった方がマシなんだがなぁ…」
思案気味のオニオンナイトと、うーんと唸るバッツの言葉にティナは静かに言う。
「迷惑かけたくないっていうのもあると思うけど…、」
「けど?」
促されて、彼女は続ける。
「多分、ミラベルは探してるんだと思うの」
「探してるって何を?」
小さな姿が、珍しく年相応な表情をしていた。
「自分がこの世界に、居るべき理由を」
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