05:vs17歳コンビ
「すぐ終わらせてやるからな!」
「夢から醒ましてやろう」
「………大丈夫か、ミラベル?」
目の前でティーダvsセフィロス戦が繰り広げられているが、スコールは気にもせず私に駆け寄る。
「大丈夫、でもティーダ…」
「アイツなら大丈夫だ。ジェクトが知らせた時からアルテマウェポン装備で走って来たからな」
「そ…、そう」
だからスコールはこんなに疲労してるんだと納得した。
(あの状態のティーダは滅茶苦茶足速いからなぁ)
よく追いついたな、スコール。
「レディー・ゴー!」
その声に振り向けば、ティーダはオーバーヘッドキックでブリッツボール(…という名前らしい)をセフィロスにシュートする所だった。
「決まったな」
「決まったね」
ほぼ同じタイミングで呟くと、銀髪の英雄様は闇に堕ちるか…と残して消えた。
まぁ、あの程度で消滅はしないが当分顔を合わせずに済みそうだ。
「ミラベル!大丈夫ッスか?!」
そのまま真っ直ぐに私の元に駆け寄るティーダは息一つ切らしていない。
ブリッツボール選手凄い…。
「うん、大丈夫。ありがとうティーダ」
「礼なんかいいんスよ!ミラベルが無事ならそれで」
太陽のように、とは言うがまさにティーダを形容する言葉だと思う。
「で、また性懲りもなく1人でふらふらしてたのか?」
「……………」
ティーダとは正反対な声音に、私は目をそらす。
「えっ、また1人で出歩いたんスか?」
「……………」
おいゴルベーザさん…いやゴルベーザ。
余計なことまで伝えたなちょっと今嫌いになったぞ。
−−−実は彼らにミラベルの危機を伝えたのはジェクトだったりするのだがさて置き。
「ミラベルー?」
聞こえない聞こえない。
耳の近くから聞こえるけど聞こえない。
(耳の近く…?)
現実逃避に夢中だったが、ふと現実に帰ると…。
「目ぇ逸らしたって駄目ッスよ!」
「?!!」
私の顔を両手で包んで真っ直ぐに目を合わせるティーダと目が合った。
「○%◆×#♂*▲@$≧〆…っ?!」
訳:近い近い近い近い近い…っ!!
予想外の近距離に戸惑っていると、あからさまな溜め息と同時に後ろに引かれた。
「………スコール、邪魔するなよなー」
「なんのだ。…ったく、油断し過ぎだ」
「ごめ…ん?」
色々と思考が追いつかないが、取り敢えず謝る。
ていうか首を引っ張るな苦しい。
「取り敢えず、帰ったらお仕置きだな」
「覚悟するッスよミラベル!」
どこか嬉々とした声に鳥肌が立ち、私は一瞬にしてその場にしゃがんでスコールの手から逃れる。
「あ、逃げた!」
「行くぞティーダ!」
私、運動神経はそれなりに自信がある…のですが。
「〜〜〜っ!」
−−−特殊部隊SeeD生にブリッツボール選手かぁ…。
いや、どっちもどれだけ凄いのか知ってるワケじゃないけど。
(1分間だけでも逃げ切れたら許してくれないかなぁ…)
そう思い、私は加速した。
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