小咄


;) Another×Candy #03



おかしいおかしい絶対おかしい何をこじらせた結果だよほら、まだ中学生だし?常識的に考えてこれはダメだよ良くないって落ち着け落ち着くんだ、さぁヒッヒッフー…あれなんか違う。とにかく良くないよこんなの!


「いい加減、諦めたか?」


「諦めたらそこで試合終了って私の心の恩師が言ってた」


場所は保健室、誰も居ないベタなシチュエーションで私は跡部に抱き込まれてオン・ザ・ベッド。ちくしょう今日は出張の保険医よ呪うぞ…っ!


「つか、何で1人でこんなとこ居たんだよ。体調不良ってわけでもねーだろ」


「日課の身長測定ですが何か。それより落ち着け、落ち着いて私を離すんだ」


「お前が落ち着け」


いやいや何を仰る跡部さん。こんな状況下で落ち着けるかってか、冷静だなお前なんだそれちょっと殴りたい。


「わかった、私を落ち着けるために取り敢えず退こう。そして離そう」


「それはできねぇ相談だ」


冷静どころか楽しんでやがる。耳元で喋るな思考回路切れる…っ!


「そろそろ、諦めろ」


ふいに髪を撫でたかと思ったら、頭を固定された。


「?!」


唇に触れる柔らかいそれが何かを判断する前に、口内に侵入してきた彼の舌に思考回路がショート。復旧の目途は皆無だ。


「ふ…、っあ」


普段は子供扱いのくせに、こういった時にその気なのは如何なものか。快楽と困惑と酸素不足で生理的な涙が瞳を揺らす。


「んっ、んー!」


ヤバい何か本能的な危機を感じて訴えれば、ようやく求めていた酸素に咽せる。


「良いな、泣き顔」


「………」


人が文字通り一息ついたとこで、なんか嫌な台詞が耳に入った。反論する元気すら残ってないのだが…これはかなり絶体絶命じゃないのか。


「もっと、だ」


低い声に犯された頭じゃ、この危機は乗り越えられそうにない。















「−−−…という夢を見たわけだが、」


保健室で身長測定をするのが日課な彼女を眺めながら、今朝見た夢の話をすれば珍しく本人は顔を赤くしていた。


「……………」


身長が変わらないことを嘆く間もなく、思考が停止したらしい。その隙に距離を詰めれば、はっとしたように後退された。…が。


「どうする?逃げらんねぇぞ」


後ろは壁だ。抵抗されつつも、簡単に腕の中へと捕まえた仔猫の耳に告げる。


「可愛い顔…、見せろよ?」


びくっとした小さな体を抱きしめて、柔らかな頬に口唇を寄せた…瞬間。

火事場の馬鹿力…というか。

渾身の力で腕を振り払われたかと思うと、素早く部屋から出ようとして…扉の前で立ち止まって彼女は振り返った。


「ばーかっ!」


そんな稚拙な暴言と共に舌を出したかと思えば、すぐに出て逃げてしまった。


「ったく、んな赤い顔で言われてもな…」


開けっ放しの扉を眺め、笑う。


(可愛いだけだっての)