小咄


;) OROCHIトリップ




なんだろう。なんか大学受験の面接練習より緊張するんだけど。
いや、助けてくれたってことは殺されたりしない…よね?


「そもそもなんなのだ、その珍妙な格好は」


放課後デートから結婚式まであらゆるシチュエーションに対応可能な学生の味方である制服を珍妙と言われる日がこようとは。


「いやもう弁解も面倒なんで1つの個性として受け止めて下さい」


だいたい、周りにはもっと多様かつ非常識な格好の人がいっぱいではないか。ここは武将コスプレ会場かよと問いたい。


「人間なのは間違いないようだが…」


「そこから疑われるって三成さんの目には私がどう映ってるのでしょうか?
確かに、さっき助けてくれたお姉さんは同じ人間とは思えないぐらいの美貌でしたけど」


あれぐらい美人じゃなきゃ人間にカウントされないのか。人間顔だけが全てじゃないって叔父さんが言ってたよ。


「あら、どこかの誰かさんと違って随分と素直な子ですわね」


あ、噂の美人さん…と思ったらあからさまに舌打ちしたよ三成さん。え、仲悪いのこの2人?


「何の用だ」


一気に声音が絶対零度に下がって気のせいか寒い。三成さんも男だけど美人だから不機嫌だと迫力があって怖いです。


「我が君がこの子のことを気になっていられるようでしたから。それに、私も興味ありますし…」


なんで美人さんというのは総じて良い匂いがするのか。クレオパトラは部屋中を薔薇で満たしたと言うが、美人=良い匂いは必須なのか。…あ、よく考えたら私は薔薇の匂い苦手だけど。

とにかく、そんな思考回路が脱線するぐらいに近い距離にある彼女の美貌に戸惑っていると綺麗な手に腕を引かれた。


「おい待て、話はまだ…っ!」


あ、やべ。我が君ってことはあの無愛想系お兄さんも居るってことかな。三成さんと2人っきりってのも精神的負担が大きいけど、この美人さんとあのお兄さん……………


(三成さん助けて!!)


心からの叫びは、届かない。