『オィ デイダラ…起きろ デイダラ…』


いつもと変わりない朝、目が覚めた俺は隣で眠りこけているこの糞餓鬼に声を掛けていた…


『デイダラ…起きろ…』

チッ…起きねー
まぁ無理もないか…

昨日の夜はあんなに可愛がってやったんだからな… クククッ



しかし何て無邪気な顔して寝てやがる…

それにコイツずっと俺の左手握ってやがる…

フッ…可愛い奴め…

『オィ…デイダラ…』


3回目に声を掛けた時だった

うっすらとデイダラが目を開けた…



『ん…旦那…』


やっと起きやがったか…


『出掛けるぞ…支度しろ…』


って…あん!?…また寝てやがる…


『チッ!デイダラ…起きねぇかゴルァ…』

『ボコっ


『ってぇ〜なにすんだょぉ旦那ぁ…』

『てめぇの寝起きの悪さゎ筋金入りだろぉ〜が、さっさと服を着ろ、出掛けるぞ…』


『って〜な、わぁ〜たよ〜うん…』


俺にこつかれた頭をなでながら口をとがらかしてデイダラも着替えだした…『んで、旦那ぁどこへいこうってんだい…うん?』


『いいから、ついて来いお前に見せたい物がある』


『昨日旦那にあんなんされてまだオイラ寝たりねぇんだぞ…うん』


そんなデイダラの顎を人差し指でくぃっと持ち上げ

『あぁ?この俺がてめぇに見せてぇもんが有るって言ってんだ…つべこべ文句たれんな…わかったか?あ?』

『は…はぃわかりました…

なぜか赤面したデイダラは慌てて髷を結っていた…


『準備完了だ…旦那…うん』


フッ…めったに出掛けるぞなんていわねぇから、こいつなりに喜んでんだな…



…バタンッ



---そして俺とデイダラは巣を後にした----





寒さも和らぎ 心地よい風が吹いていた…



俺が好きな場所へ…




そして俺達は小高い丘の頂上に向かい歩いていた…


『はぁ…はぁ…旦那ぁまだぁ〜?』


『あぁ?』


『チッ…てめぇゎいつもあの訳の分からん鳥に乗って移動してるから運動不足なんだろが…』

『訳の分からんとゎなんだよぉ〜オイラの芸術作品にむかって…ぅん…はぁ…はぁ…』

『あのセンスの訳がわからんから言ってるんだろ〜が…チッ…仕方ねぇな…ほらっ』


俺はおもむろに左手を差し出した…

デイダラは素直にその左手を握ってきた…
フッ…コイツ 待ってやがったのか? 心なしか顔がほころんでやがる…


俺はそんなデイダラの手を引きながら一路、頂上へ向かった…


もうすぐだ…



『デイダラ…ここから目を閉じてろ…』

『は?ぅ…うん』


俺はデイダラに目を閉じる様指示をし左手を強く握り頂上への最後の曲がり道を進んだ…




『目を開けていいぞ、デイダラ…』




デイダラはゆっくりと目を開けた…


『えっ…!』


デイダラは目を見開いた…


…薄いピンクがデイダラの視界を埋め尽くした




その目に写ったもの…




それは『桜』



見たことも無いほどの大桜だった…



『これをお前に見せたくてなぁ…』


『旦那ぁすごい!すごく綺麗…うん…うん』
デイダラはその大桜をまばたきも忘れるほど眺めていた…



俺はこっそり用意したあれを出した


『ん…ほらよっデイダラ』


『あ〜〜〜お花見団子だぁ〜旦那ぁ』


2人でその桜にもたれて座りながらちょっとした花見を楽しんだ…




『なぁ旦那ぁ桜ってのは咲いてすぐ散りゆくんだよな…それってまさに一瞬の美だよな…うん』


『フッ…ばぁ〜か、桜ってのはその場所で幾年も同じ花を咲かせてくれる永久の美だろうが…』







だがな…デイダラ



この桜ってのは俺たち2人が求める美を共に兼ね備えてるものだと思えた


だから俺はこの場所を好きになった


だから…

この場所は俺とデイダラの場所だ…



だから、これから幾年迎えようと俺はこの場所にお前と来る…



わかったか?ついて来いデイダラ…









 〜心地よい春風〜



それは2人の幸せを運んでくれる…













蛍に捧げます



Fin.


蛍の旦那様から戴きました




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