※ユア様キリリク37000
















    『島風』





 終刻(おわり) なんてもんは、唐突に来るもんだ。

神経をすり減らして築き上げてきたものが、ある日予告無く崩れ去る。

それは己の意思に反する外部からの衝撃であったり、はたまた潜在的な自我の爆発であったり。


いずれにせよ、腐敗した日々が生み出す現実はこの上無く退屈なものだった。

この堕落した巣窟から最早抜け出る気力すら無い。
そしてその汚物が、世界なのか 自分なのかという判別さえつかないままでいる。




 ─ふう 

簡素な造りのベランダから、紫煙を燻らせる。
無駄に煌々(こうこう)とエネルギーを消費している仮初めの街夜に、気だるい霞が覆った。




今日も無意味な一日が終わる。
毎朝の密閉された圧迫地獄から始まり、何の役に立ってるのかも解らないデスクワーク、責任転嫁が趣味の上司の説教、暗黙の了解の残業にやる気のないコンビニ店員の挨拶。

下らない週末の付き合いが終わったと思えば、別れた女からのしつこいメール。
最近はやたら「いつ落ち着くのか」なんて圧力を周りから頻繁に受けている。

そして、それらを迎えるくたびれたYシャツとゴミ袋の山たち。



 何もかもが、下らなかった。




果たして俺は、こんな現実を続けて行く事を望んでいるのか。

幼少の頃に描いた未来は、もっと力強く中身のある世界では無かったか。


平穏こそが幸せと唄う時代は移ろい、平穏であるが故の無機質な毎日が、本来の感性を鈍らせ この国の固定観念を一層深く植え付ける。


そうでないレールを歩む者は、疎外され嘲弄され、終いには集団の大きな流れに乗ることこそがよしと洗脳されていくのだ。


『俺の夢は──』


遥か彼方の記憶を探ってみても、まっさらな画用紙の上を思考が滑り落ちていくだけだった。


本当に、何もかも一つずつ忘れてしまったのだろうか。

身に付けた穢れの数だけ、俺は大切な物を無くしてきたのだろうか。




 また ふう、 と煙を吐いた。



薄曇に隠れた朧月が

更に掠れてぼやけて見えた。







    ◇◇ ◇





 俺は会社を辞めた。

辞めると決めた次の日に辞表を出した。

10年以上身を置いた場所だったが、書類の世界で繋がった人間関係がいかに脆いものだったのかを知った。
加えて、今まで背負ってきた責任感の空虚さも。


惜しい人材だ、とか 辞めても飲み行きましょう、だとか そんな上辺だけの言葉なんかに最早微塵も心は動かなかった。


案外、あっさりしてるもんだ──




溜めに溜めたゴミ袋も昨日漸く指定場所に運び、久しくしていなかった掃除もやった。


後数分で目的地に到着する。

俺は持っていたチケットを後ろのポケットに捩じ込むと、少なすぎる荷物を足で座席下へ押し込み、着陸態勢に備えた。





─────





 別に何処でも良かったのだ。


ただ、残った有休を消化している間は遠くに行ってもいいかなと思っただけのこと。

良く、働いたしな。


辞表を出したその足でふらふらと駅前通りを歩いていると、旅行会社のパンフレットが目に止まり何の気なしに眺めていたら…一つの写真が俺の視界を奪った。


それは澄んだ青空と、それをそのまま映したように透き通った海しか無い そんな場所だった。

そこの店員に促され 色んなパックやサービスを説明されたが、観光とかレジャーが目的の大層な旅行って訳でも無いし ノープランも悪くないな、などと思って結局搭乗券だけ買った。


行く各所や、寝床すら決まっていない 自由気儘な一人旅。

先の事なんて、全く考えなかった。というより、考えたくなかった。






──────






 空港から出ると、思った以上の日差しに全身を焼かれる思いがした。

ジリジリと照り付ける太陽は、実際こんなにも眩しいものだったろうか。
今まで使わなかった感覚が徐々に覚醒し始めていくのが解った。


さて、これからどうするか──

先ず手始めに、海岸線にでも行ってあのパンフレットのような海を見てこよう。


俺はロータリーに止まっているバスに近寄り、何とか岬 と表示されている行き先を視認すると そのまま中へと乗り込んだ。





──────





 一体、俺は今まで何にしがみついていたのだろうか。



何を恐れ守っていたのだろうか。

てんで見当違いだった事を悟り、愚かな過去の自分を一緒に海に還した。



目から鱗というのは、正に今の俺の事だろう。
目の前の雄大な自然の芸術に、俺は久方ぶりに感極まった。


世界はこんなにも自由で、そして 絶対的であったのだ。

切り立った断崖絶壁の岩岬から 穏やかに凪ぎいでいるエメラルドグリーンの大海原を見下ろす。

真上の太陽を目一杯に受け、時折チラチラと海底の珊瑚礁を見え隠れさせる。



気温の割には、涼しい風が抜けた。



そのうちに、無性にこの海に触れたくなって岩岬を引き返す。

右手から大きく回り、未整備の浜を駆け下り海岸まで移動した。


軽すぎる鞄をその辺に投げ出し靴のまま波打ち際に入ると、無色透明なエメラルドの源を両手で掬った。


さっきの風と同じく、想像よりも温度が低く心地よい。
指先から流れ込む言葉にできない感覚に息を吐く。

俺は 全ての穢れを浄化するかのように、頭も心も空っぽのまま 暫くその場にしゃがみ込んでいた。








「お兄さん一人旅かい、うん?」

いつまで放心していたのか、はっと上げた顔を声のした方に回す。


そこには、小さな舟に小道具を積みながら金髪を靡かせる女が立っていた。

女…?いや、声は男だったから、男か。
まぁ、どっちでもいい。



『あぁ、そんなところだ』

俺は漸く立ち上がり、適当に返事をした。
「…にしては、荷物少ねぇけどな」

そう言って、目の前の金髪は気まずそうに、けれども溢れんばかりの笑みを俺に向けた。


特に深く聞いてくるつもりも無いようで、ソイツは柵に括ってあったロープをほどくと舟を海へと押しやる。


「今から漁なんだ。ちょっと先まで出て、潜ってくる、うん」

『…密漁か』


「馬ッ、違ぇよ!れっきとした漁師だ、うん!まぁ…正式には、ジジイの手伝いだけどな」


そう言うと奴は、網やら銛やらを携え力強く舟に乗り込んだ。


「今日は大物が捕れそうな予感だ!どうだい赤髪の旦那…暇してんなら、オイラと来るかい?」





あまりに生き生きとした奴の生気に導かれるように、俺は靴を脱ぐとその舟の縁を跨いだ。







    ◇ ◇ ◇






「デイダラ貴様…!いつまでかかっとるんじゃ、今日はすぐ帰れと言ってあった筈じゃぜ!」


「っせぇなジジイ!!こっちも色々と事情があんだよ!大蛸捕ってきてやったんだから文句ねーだろ、うん…!」


素潜りという漁を終え、収穫物を 奴の家が営む市場へと運ぶ所まで手伝った。


「小賢しい…!偉そうな口をききおって!!その男は誰じゃ!」

どうやらこれがコイツの言うジジイのようで、たった今その怒りの矛先が俺に向いたらしかった。


「都会から一人旅に来た旅人だ。浜で会って、手伝って貰ったんだよ、うん」

「カーーーッ!!人様を巻き込んで何をしくさっとるんじゃッ!しかも素人なんぞに手伝わせおって…」


気を使われてるのか貶されてるのか微妙な所だったが、これ以上巻き込まれるのも面倒なので ここらで別れることにした。

「ありがとな!赤髪の旦那、助かったぜ!」


『…サソリだ』


「名前か?そうか、サソリの旦那だな、うん。オイラはデイダラだ」
(さっきじいさんから聞いた)

「じゃ、ゆっくり羽のばせよ。また会えるといいな、うん!」


そう言って奴はまた喧しく喚きながら、市場の中へと入っていった。











気がつくと既に日は傾き、観光客が行き交う商店通りは徐々に夕刻の活気で賑わい始めていた。


俺も、そろそろ泊まる所を探さないと。
無いなら無いで別に構わないが、安くて飛び込みでも受け入れてくれる民宿なんかがあったらラッキーだが。
俺は暫く繁華街をぶらつきながら、出店で簡単に夕食も済ませた。



何だか顔や腕がヒリヒリする。
あんな炎天下の中、長時間舟の上にいたら当たり前なんだが、久しぶりの感覚にいささか懐かしさを覚えた。

会社の同僚から "少しくらい日焼けした方が健康的に見えるのに" と言われていたことを思い出してため息が出た。

こんな場所まで来なきゃ、日焼けすら出来ない環境にいたんだ、俺は。

先週までの電子画面と活字と人工物に囲まれていた自分は 空なんて見上げもしなかったのに。

それに比べてここの空は、太陽は、なんと近いことだろう。
手を伸ばせば、すぐ共鳴できそうな程身近に感じた。



俺はあの岬の海をもう一度見たくなり、また海岸線へと歩みを進めることにした。
賑やかな声がどんどんと背後へ遠ざかる。
と同時に、すっかり居座っていた夜の闇が俺を包んだ。



この分じゃ、昼間見た景色とは随分と違って見えるだろう。








着いた先は、満天の星空と穏やかな波の音だけで満ちた別世界。
町からの光も一切届かぬ、外界から切り離された芸術そのものだった。

昼の煌めきが女神の微笑みならば 今はまさしく対照的な 女神の祈り だろうか。


俺はまた砂浜に腰を下ろし、静かに月の光を受ける遥か水平線を眺めることにした。






ザザ─… ン



ザアァ─……





押しては返す波音が 真空の心の中をゆっくりと満たしていく。



空と海との境界は消え、水面にユラユラと映る銀色の光が まあるく浮かぶ月へと伸び、まるで 月への階段のように見えた。




俺はどさりと身体を倒し夜空を仰いだ。

今までに見たことも無いくらいの星屑が瞬いている。
あのくすんだ空と繋がっているとは信じ難い。



スゥ、と鼻から空気を吸い 呼吸を止める。

広大な世界の中に、ちっぽけな一つの命の音が聴こえた。






(悪くねぇな…)



もういい。 宿探しも面倒だし、今日はここで星空を独り占めして寝るとしよう。



ゆっくりと目蓋を下ろしたら、ぼんやりとした光の残像が目の裏に映った。

そうしたら、昼の眩しい陽射しと同等な、金色の髪を靡かせるアイツの笑顔が浮かんだ。





(あんな風に笑える奴が、まだいたんだな)






吸い込まれるように惹かれる存在だった。


不思議と嫌悪感は沸かず、ある種の冀望や羨望のようなものが俺をチカチカと惑わしてくる。


あの青年には、この島の太陽が 本当に良く似合うと思った


心から そう思った。








「いくらなんでも浜辺で野宿はマズイだろ」


声と同時に、視界が暗くなってふと目蓋を開く。


そこには、俺の顔を真上から覗き込むアイツの顔が逆さまに映った。


長い前髪が重力で垂れ、昼間は見えなかった左目が 月光の翳りで鈍い光を放っている。


「波に飲まれちまうぜ、うん?」


『…それも、悪くねえ』


「馬鹿な事言うなよ、うん」



明るい筈のコイツの笑顔に 何処か翳りが見えた。





『別に変な意味じゃねぇ、こんな世界に浚われるなら…本望だと思っただけだ』


静かな波風が 吹き抜ける


「…綺麗だろ?」


『あぁ…』






ソイツはよっ、と言いながら俺の横に座り、同時に両腕を伸ばしながら仰向けで寝転んだ。

ばふっ、と 砂ぼこりが舞った。



「オイラはさ、この場所が結構好きなんだ…」

真横から呟かれた言葉は、細かな砂を伝って俺の鼓膜に届いた。


『………』 




「なーんにもねぇだろ?この島。だから海も空も全部オイラのものだ!…って、思えるからな!」


そう言って奴はまた、視界の端でニッと歯を見せ笑う。

潮風が柔らかに俺達の髪を撫でていく。






「……どんな事があったとしても、この場所は全てを吸い込んでくれる…広い世界の前では、人はあまりにもちっぽけだ…うん」



コイツに惹かれた理由が解った気がした。

俺の心に 言葉がポツポツとリンクする。



『お前はずっとこの島にいるのか』


やっと視線を隣にやり、俺はソイツの顔を見た。

昼間とは違い 月の光のせいで青白い肌が、妙に大人びて見える。


「……いや、オイラは島育ちじゃねぇからな。…2年くらい前からだ」


弧を描く口はそのままに、その目は凛と涼しげな風鈴のような音をたてた気がした。






『いい風だな…』





「…そうだな…うん」










結局、巨大プラネタリウムの下の一泊が却下された俺は、奴の家の空き部屋に招かれ、幸運にも柔らかな布団で眠る事が出来た。




やっぱ、ノープランも悪くないな…と、改めて感じた夜だった。

 



    ◇◇◇






 眩しい陽射しに右頬を照らされ、俺は漸く目を醒ました。


見慣れない部屋の景色をぼんやりと眺めながら、ここは 遥か南の孤島の一室だったということを思い出す。


あまり使われていない部屋らしく、い草の独特な匂いがする。

古い木造のそれの、何とも落ち着くふすま風が心地よい。


枕元に転がる携帯を拾ってディスプレイを見ると、7:45 と表示されていた。

思った以上に疲れていたのか、予定より目覚めが遅かった俺は、布団から出ると隣のアイツの部屋を覗く。


当然の事ながら島人の朝は早い。

アイツの姿も とっくに無かった。









──────








例の浜辺へ何となく足を運んでみたが、やっぱり期待は外れたようだ。



昨日よりも早い時間の海は、軽やかな透明感を纏い まるで瘡蓋(かさぶた)が剥がれ落ちたような清々しい清気に満ちていた。




「…よく眠れたか?」



すぐ側で俺に向けたらしい声を聞き振り返ると、アイツの家主が大きな網を引きずりながら此方を見ていた。


『あぁ、急に世話になって……すまない。だがよく寝た』

身長的にしんどそうな作業だから、勘に触らない程度にさりげなく手伝う。


「デイダラなら、今日も沖じゃぜ!…ったく毎度毎度漁とかこつけてフラフラ出歩きおって…」



身体の割に大層な不満事を口にしながら、その爺さんは荷車に道具類をしまい込んでいる。




「じゃが…あやつが他人に興味を持つなど今までに無かった。…どういう風の吹き回しやら」


そう言って爺さんははぁ、と息を吐き、首から提げた手拭いで顔面の汗を拭った。






遠くの水平線で海鳥が鳴いている。

二 三羽が滑空している先には何があるのだろう。

そんな事をぼんやりと考えながら、俺は荷車の台座を戻した。





「あやつ、デイダラを引き取ってからもう随分と経つが…今までに一番いい顔じゃぜ」



『血縁者じゃないのか』



よっこらしょと荷台に腰掛けた爺さんに質問をした。


「赤の他人じゃぜ。…もっとも、あやつは今でもそう思っとるじゃろ。…飲むか?」


徐に差し出されたのは、何とも懐かしいパッケージの炭酸水の瓶。

受け取った後で、あまりの冷たさに背中がピンとした。





「最初にあやつを見つけたのは…ちょうどこの岬じゃったな。そこの…一番尖った場所があるじゃろ。…其処でデイダラは自殺を図ろうとしておった」




『──自殺?』



目の前の情景とはあまりに駆け離れた単語に、俺は違和感を覚え聞き返す。





「あぁ。…嵐の酷い夜じゃぜ…船の様子を見にこの浜に来たら、岬の先に奴が立っておった…酷い顔をしておったな。…世界の全てを拒絶するような目じゃった。流石にワシも異変を感じてな…海が荒れる日は、あの岬の崖下に大渦が出来るんじゃぜ」




握った瓶についた水滴が、徐々に雫となって俺の手から零れていく。




「何に絶望したのかは未だにワシは知らんが、別にこれからも聞く気はない。じゃが、若僧の分際で自ら命を断つ等…あってはならん事じゃぜ!…ワシは、理由も聞かずとにかくデイダラをそこから引きずり下ろしたんじゃ」

『……暴れなかったのか』

「大暴れじゃぜ!殴る蹴るは日常茶飯事じゃったな」


プハ…と音を立て炭酸水を飲み干した爺さんは、またよっこらしょと荷台から降りた。



「じゃが、暫くしたら落ち着いたんじゃろう…あれからは二度と無い。島の事やワシの仕事にも関わるようになった」


そして低い唸り声を上げ、大きな荷車を引き出した。
ぎっくり腰になりゃしねーだろうか…

少し不安になった俺を振り返り、その小さい爺さんは笑った。


「お前さんの事が放っておけなかったんじゃろ。今のお前さんの雰囲気は…あの頃のデイダラに少し似ている。そのせいなのか随分と気を許してるようじゃしな。これからも…仲良くしてやってくれ。いつまで居るのかは知らんが」


そう言って、ガラガラと引かれた荷車は 徐々に小さくなっていった。








また、今度は近くで海鳥が鳴いた。



『"どんな事があったとしても"…か』





栓を開けたまま空気が抜け続けている瓶に、俺は漸く口を付けた。

さっきよりも気温と混ざり合った冷たさに変わり、喉の奥へと滑らかに流れていく。



アイツは今 何を見ているのだろうか



キラキラとただ輝き続ける海の果てが恐いくらいに美しい。


そんな場所で、命を断つ事を決めたアイツは どんな想いで毎日海へ漕ぎ出しているのだろうか







 『生きる』 ことは、複雑で謎めいている。


出口の無い迷路を進むような、正解の無い問題を解いているような不確かな足跡の複合体でしかない。



そして、"不幸なのは自分だけ"と自らに限界と防壁を植え付け、本来の自由を遠ざけてしまうのだ。今の俺の様に。








「旦那!」



どうやら今日の漁という名の旅が終わったようで、波打ち際に付けた舟から降りてこっちへ駆け出してきた。



太陽と同じ色をした長い髪が 背後に光る海と重なり一層輝いて見えた。




『デイダラ、俺は今日帰る事にした』





「えっ──」



目の前まで駆け寄った奴の顔は、何とも間抜けな表情で俺の言葉の意味を理解しようとしている。



「そっか、もう帰るんだな…って、早くね!?昨日来たばっかじゃねぇかよ、うん!?」



『クク…まぁな……』



俺は奴の言い分を背に、さっさと荷物を取りに戻る為空き部屋に向かう。



「ちょ、旦那!どうしたんだよ、オイラ何かしたか?」




とにかく、俺は思い立ったら即実行派だ。

訳が分からず戸惑う奴に、今決めたばかりの決定事項を言う。





『この部屋空けとけよ。後日送る俺の荷物はここに運べ…』

「へぁあ─ッ!!?…そ、それっていうのは‥‥」



『永住だな』





「え? あ? うんんんん!?」



派手に驚いた割には、真っ先に爺さんに了承を得に走って行くアイツが酷く純粋に見えた。




これからは、何にも囚われない 自由な両足で己の描いた道を進んで行きたい。



そして、この島で惹かれたアイツの笑顔を、この先も見守りたいと心から思った。









 生きる事は複雑で謎めいている








   だけど






  生きる事は この上なく幸運で、何物にも変えられない尊い奇跡の連続…なのかもしれない








俺は そう思った。







    ◇ ◇ ◇






「旦那…、やっぱ荷物少ねっ!!!」











fin.
────────────


現代パロディという生易しい物ではなく、現実をもがきながら生きる人間臭い二人が書きたかった。

シリアス一本ですが、こんな風に互いに惹かれ必要とし合う芸コンたまらん…!

リクエストありがとうございました^^
ユア様のみお持ち帰りどうぞ!


2013.7.6
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