失敗 2
焦げ臭い臭気がむわりと辺りを覆っている。
奇妙な鳥の背に乗ったデイダラは、爆煙を縫うように避け上空から低空飛行で里中に滑り込む。
さて、アイツを探すか。
これだけ跡形も無くやってしまえば文句は無い筈だ。
犯罪組織が今更掟だ何だと馬鹿馬鹿しい、不安要素があるのならそれごと消し飛ばせばいいだけの話だ。
逃げ惑う疎らな人影に向けて蜘蛛を型どった起爆粘土をばら巻き上昇する。
絶叫と爆発が真下で断続的に沸いた。
「はっどうだい、オイラの芸術は…!」
叫べ─ 思い知れ─
こうなりゃお前ら全員オイラの芸術を認めざるを得ないだろ!
意気揚々と滑空と投爆を繰り返す惨地に、サソリが到着したのはそれからすぐの事だった。
全く派手にやらかしてくれた。
建家の至るところからは猛々と火柱が上がり、少数とはいえ無惨な亡骸があちこちに転がっている。想像以上の惨状にサソリの表情は更に険しいものになっていく。
(もう、あの餓鬼ぶっ殺して撤収ってのも無理っぽいな……)
この騒ぎだ、そろそろ近くの忍が気付いて第一陣が来る頃だろう。
そうなれば一人として逃がす事は出来ない。
灰色の空にチカチカと光る一房の髪が真上で主張する。
何なんだアレは。─鳥か?
いや、そんなことはもう関係無い。
まさかこんなに早くコンビが解消するとは思わなかったが…組織を害する存在は当然始末対象だ。
『、、、チィ…言わんこっちゃねぇ…』
僅かな空気の動きを感知した刹那、サソリは顔半分を覆う布地に手をかけた。
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2014.2.19