『お前は…"死"をどう理解する』
足元に転がった骸を眺めて、そう言った。
「別に。何とも思やしねえよ、うん」
やはり、お前の世界は つまらない。
「"死"は、終わりじゃなく"入り口"だからな」
究極芸術の、か。
くだらねぇ。
コイツらが、最期何を思っていたかなんて お前には一生 解らねぇだろう。
「散って初めて、命は芽吹くんだぜ。その意味が、価値が解るか…旦那」
左手から吐き出した鳥を実大化する奴を背後に、俺は懐に巻物を収める。
『解らねぇな、永久に』
「今更だろ、…うん」
足元には、死 死 死。
さして変わらぬ、日々の光景。
一方はそれに希望を見出だし
一方はそれに絶望した
『そんなに単純じゃねぇ… お前は──』
蒼い目がじっと俺を捉える。
やはり、解っていないのだ。
『死』の本質を
『やっぱり馬鹿だな』
俺は、視線を骸に戻した。
「オイラがいれば…アンタは死なねぇよ、うん」
巨大な鳥の上から 金色が射した。
揺るがぬ念と共に。
『……ふん』
心の内を覗かれた気がして、俺は背を向け進み出す。
少しだけ 安堵したように感じたのは ほんの気の迷いだ。
fin.