「なんか、面倒臭ぇことになってんのね。」

リーダーとの遠隔通信を終えた二人は再び広大な草原を渡っている。

時折吹き抜ける風が心地よく草葉を揺らすが、どうにも景色と心境が噛み合わないでいる。



どちらにせよ、始末せねばならない相手なのだ。

どのような計画を企てようともこの不死身コンビの前では敗北は目に見えている。

万が一奴が同じく不死身の身体であったとしても、自分達の経験値には及ばないだろう。動けぬ身体にして換金してしまえばいいのだ。


「にしても、お前の昔のお友達が偽暁のリーダーとはなぁ、なーんか因縁臭ぇよなぁ!お前もしかして、恨まれてんじゃねぇの。」


尚も相方はやかましく言葉を発している。いい加減黙らんか…そう言おうと思ったが相手の顔を見たらそれすらも面倒になった。

「でもま!なんか知んねぇけどリーダーが手を打ったらしいしな。俺等はとにかくその償金首を狩りゃいいわけだぜェ。」

先刻の通信は、暁を潰す目的と判明した為に充分に警戒しろ、という内容だった。

「……いらん世話だ。忠告や加勢などこの任務には必要ない。」


そう短く吐き捨て

「奴を仕留めるのは、俺だ。」

意気込みではなく 事実を口にした。













太陽が翳り始めた。あれほど強かった陽射しも、今は何処からともなく現れた雲に所々遮られている。

通り過ぎてきた後ろの山々から、幾重にも折り重なる怪しげな暗雲が徐々に押し寄せてきている。


それは自分達を追い越し、前方の高原へと流れて行くようだ。


デイダラはおおよその見当がついた。

今自分達が向かっている先には高原がある。里や集落などは無く、手付かずの自然のままである。

距離にしてまだ随分あるが、そこを越えると見えるのが草隠れの里だ。


どうやら相方はやはり、あの『永良』という忍を追っているらしい。

理由は相変わらず判らないが、里に着いたら角都達の加勢に行くのだろう。

(きっと、戦闘になることは間違いないな、うん。)


何とか自力で状況を把握したデイダラは、少しばかり気分がスッキリとした。
勝った気分だ。


いつもサソリに『てめぇは銀髪並みに頭が弱ぇのか』と罵られている。あの宗教馬鹿と一緒にされんのは願い下げだ。


そんな感慨に耽りながら粘土の残量を確認している手に、ぽつりと水滴が落ちた。





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