「もしもし…?」

夜、突然着信を知らせたスマホにお風呂上がりの私はソファの上で一人正座をしていた。なんで正座したのかは分からない。分からないけど着信相手の名前を見たら無意識にしていた。

『あ、ナマエちゃん。悪ィ、夜遅くに』
「ううん、大丈夫」

電波に乗って聞こえてきた声にとくりと心音がワントーン高くなった気がした。声だけは何とか平静を装ってみるが、背筋を伸ばしてみたり、太ももをさすってみたりと動きはどうにも忙しない。
私の家にエースくんを入れたあの日以来、彼からはこうやって電話がかかってくる。というものの一度だけ久しぶりにお互いの窓とベランダから会話をしてみたら、季節的な寒さのせいで私がそれどころじゃ無くなってしまったため、その代替法としてがきっかけだ。そもそも連絡先を交換している今、メッセージアプリもあるのだしわざわざあの頃のような会話をする必要もほとんど無くなってしまったのだけれど、エースくん曰く原点回帰≠轤オい。

「どしたの?」

特に予定などが無いのは分かっている。分かっているのに他に気の利いた事も言えず決まり文句のように聞いてしまうのだから、私もとんと学習しない。

『なんかさ』
「うん」
『声、聞きたくなった…っつーか』

あ〜〜!もう〜〜!
なんとなく電話の向こうでどんな顔をしているのかが想像ついてしまうから我ながらどうしようもない。ついでに胸の内がドンドンと騒がしくなるのだからそれもどうしようもない。堪らずその場に脱力してしまった私は今絶賛土下座状態でここが自室で一人じゃなければ変質者そのものだと思う。「そうですか」と苦し紛れに返した言葉はとてもぎこちないものだった。

師走に入ってから連日バイトが忙しいのだと話し始めた彼の声に耳を傾ける。私もこれから仕事が忙しくなりそうだと返して繰り広げるのは何のことはない他愛もない会話。だけど普段話すときとは少し違った息を零すような静かな笑い方とか、ふとした瞬間の優しい声とか。それらを聞いているうちに理由は分からないけれど、なんとなく、つけっぱなしにしていたテレビを消してしまった。
訪れる静寂の中で、エースくんの声だけがしっかりと耳元から入ってくる。
そうすると、なぜだろう。
…すごく、無性に、顔が見たくなってしまった。

(…なに考えてんの私)

声を聞いてたら顔が見たくなるなんて、少女漫画か。大体26にもなってそんなセンチメンタルに浸ってどうする。初心な高校生でもあるまいし!電源の切れたテレビの液晶にはソファで膝を抱えるように座り直す自分の姿が反射している。客観的に己を見ると言い様のない羞恥が襲ってきて、視界を閉ざすように膝に顔を埋めた。

『ナマエちゃん?どした?』
「…なんでも…ない」

あなたの声を聞いていたら顔が見たくなりました、なんて馬鹿正直に言えるはずもない。そもそもちゃんと付き合ってすらないのに。まあそれは私が待たせてしまっているからだけれど。だからこそ、そんな都合のいいことを言える訳がなくて。
おかしい。あの日からすっかり私はおかしくなってしまった。エースくんが、好き。だけどこんな、気持ちにブレーキが効かないなんてことあるのだろうか。どうして今までこんな想いを抱えたまま彼に接してこれたのか分からない。

『…なァ、ナマエちゃん。まだ眠くねェか?』
「え…? うん、大丈夫…だけど」
『その……ちょっとだけで、いいんだけどさ』
「?」
『……かお、みたい』

さっきテレビを消さずにいたら聞き逃してたかもって思うくらいに、ぽつりと零された台詞。
ぶわっと瞬く間に全身に血液が巡り渡って身体中が発火したように熱くなった。まさかそんなことになるとは思わずにまともに言葉が紡げない私は挙動不審で。

『…あーやっぱ今のナシ!』
「えっ」
『外さみィしな!ごめん、忘れてくれ』
「ちょ、ちょっと待ってエースくん!」

気づけばソファから立ち上がっていた。あっちから見えるはずもないのに無駄に大袈裟なジェスチャーを交えて電話口に語りかける。

「その、私、今お風呂上がりで、だから、えっと…一分、いや三十秒っ、その…時間を、ください…」

どんどんと尻すぼみになっていく台詞に比例するように冷静を取り戻していった私は言い切った後、気が抜けたようにその場にしゃがみ込んだ。なにこれ私すごく必死じゃん。もうやだ恥ずかしい。スマホを握る手が汗ばんで固く目を瞑ると、数拍遅れて電話の向こうから吐息で笑うエースくんの気配がした。

『…ありがと』

待ってる。
続いたそれに私の身体は洗面台へと駆け出していた。
髪の毛はタオルドライと自然乾燥でまあなんとか…毛先は未だ若干雫が落ちてるけど…これくらいいいか。とりあえず前髪だけ適当に整えて冬仕様の部屋着に袖を通した。そしていざ窓を開こうとすれば、外だから寒いんだったと思い直してダッシュでクローゼットからアウターを引っ張り出す。それを羽織ったあともう一度前髪を軽く直して窓の前に立った。
最後に深呼吸を大きく一回。鍵を外して窓を開いた先、ゆったりと微笑んだ彼はそこにいた。

「よ、ナマエちゃん」

目の前にいるエースくんとスマホから聞こえてくる声とが重なる。
ああ…ああ、どうしよう。
彼の顔を見た途端、言葉にできない何かが一気に溢れ返りそうになった。温かくて、キラキラしてて、少しだけ胸が苦しくなるような、そんな何か。すごく満たされた気持ちになるのに、なぜだかほんのちょっと泣きそうだ。窮屈になる胸の内にどうにか隙間を作ろうと恐る恐る吐き出した息は外気に触れて白く染まっていた。

「寒くねェ?」
「…うん、大丈夫」

エースくんは?と問いかければ、全然平気、と白い息を零す。絡み合う視線に甘い色が混じっているのを感じてすぐいっぱいいっぱいになってしまった私は窓の桟に置いた手をひとりでに握りしめた。

「…おれさ、」

お互いに無言になった不思議な間を置いてから、ちょっと言いづらそうにエースくんが口を開く。

「電話向いてねェなって思った」
「…?」
「すぐ、顔が見たくなっちまう」

そう言って眉を下げて少し困ったように頬をかくから、もう、ほんとうに、この人は。

「〜〜ッ」

ずるい。簡単そうにそんなこと、言わないでほしい。
発作で死んでしまうんじゃないかってくらい心臓がうるさくて、息が勝手に上がる。どうする?なんて返せばいい?なんて返したらエースくんは…。右往左往に泳がせた視線を彼に戻せば照れた笑顔を浮かべるそれと目が合った。

するとそれはもう本当に不思議なことに、私は素直な胸の内をさらけ出してしまったのだ。

「…わ、たしも」

小さな小さな声だった。もしかすると聞こえていないかもしれないくらいに。
ずるずると顔ごと視線が落ちていって、桟の上に置いたままだった拳の上に額を押し付けた。やってしまった。言ってしまった。全くもって逃げ場のない思考回路の中を半狂乱な自分が駆け巡れば、耐え難い羞恥に膝が笑う。
せめて反応の一つでも返ってくれば少しは救いがあるのに、いくら待てどもレスポンスは何ひとつ無い。永遠とも感じれそうな沈黙にもしや本当に聞こえていなかったのでは、と恐る恐る顔を上げれば、

「───ッ…!!!」

それはそれは真っ赤になったエースくんがこれでもかと目を見開いて硬直していた。

「〜っくそ、ほんとに…あーもう…ッ!」

夜中で不明瞭な視界でも分かるくらいに真っ赤に染め上げているものだから思わず瞠目してしまったのは無理もない。
エースくんは片手で顔を覆ったあと髪をがしがし掻き乱して、次に両手で再度顔を覆いながら天を仰いだと思えばベランダの柵に肘をかけて突っ伏すように俯いた。彼にしてはかなり珍しく歯切れの悪い呻き声まで聞こえてくる。
ひどく怒りを顕にする人間を前にした時かえってこちらは冷静になってしまう…そんな現象に近しいものが今の私には起こっていて、エースくんの一連の様を見ているうちに荒れ狂うような鼓動の波が随分と凪いでしまった。

「えーす、くん」
「………なに」

呼んだ名前には律儀に反応してくれる。くぐもった声とともに目元だけが認識出来るくらいに少しだけ頭を起こして視線が飛んできた。
してやられた。悔しい。でもそれ以上に嬉しい。口を開かずともその瞳が雄弁に私にそう語ってくる。然すれば凪いでしまったと思った荒波はあっという間に大きくなって帰ってきた。

「…なんでもない」

ほんと、どうしようもない。
顔が見たくなったという願いは他でもないエースくんによって叶えられたはずなのに。今度はもっと近くにいたい、なんて。それぞれの建物を介した決して手の届くことのないこの距離が非常に憎らしく感じてしまうなんて。次から次へと飽くことなく欲しがる自分の心があまりにも欲深く、少し恐ろしい。

「…ナマエちゃん」

蜂蜜に砂糖を溶かしたような、むせ返るほどに甘く蕩けるようなそれ。ふわりと漂った空気にあてられれば、この後にエースくんが言うであろう台詞の想像がついてしまった。

「好きだ」

予想していた通りの言葉なのに、きゅっと心臓が掴まれた心地になる。あの日から、エースくんは時折この台詞を口にするようになった。それは他愛もない会話の最中、ふいに、思い出したように。「いつかおれのところに来てくれると嬉しい」その言葉に頷いた私のことを急かす訳ではない。だが決して忘れてくれるなと言わんばかりに熱っぽい瞳を向けながら。
正直未だにこの台詞にどんな反応をすれば正解なのかはいまいち分からないままだ。多分普通は、嬉しそうに笑ってみせたり、可愛らしく火照ってみせたりすればいいのかもしれない。

「…うん」

でも私はそんなに器用じゃないからせいぜい不格好に顔が緩まないように口を噤んで、熱くなる顔を俯かせるのが限界で。
きっと愛想も何も無いと思うのに、それでも目の前の彼はいつも瞳を細めて満ち足りたように微笑んでくれる。だからきっと正解とは言わずとも間違ってはいないんだろう。


*****


───知らない船の上にいた。

大きな大きな船の上。甲板から覗くは一面に広がる深蒼。私は目を白黒させて辺りを見渡したが、やっぱり全く知らないところだった。
ここはどこだろうと考え込んでいれば、視界の端に人影が映る。そこを見遣れば見たことも無いような巨躯の男が私の方向目掛けて歩いてきていた。

(!?)

筋骨隆々の見るからに屈強な人物が私へとどんどん近づいてくる。もしかして殺される…!?詰め寄られる恐怖で完全に足が竦んでしまって、私は反射的に歯を食いしばった。
…のだが、その屈強な男は私に目もくれることなくそのまま歩いて行ってしまう。

(…え?)

安堵と共に訪れるのは違和感。無視するのではない、まるでそこに存在しているのを認識していないような。しかもただ通り過ぎるどころか私をすり抜けるように通って行った気がする。
もしやと自らの手を見てみると思わず顔が引き攣った。私の手は信じられないことに幽霊の如く半透明に透けていたのだ。だがそれと同時に私は気づく。これは夢の世界だということに。
思えば吹く風の感覚も匂いも何も感じなければ、自分の声も含めて音は一切聞こえない。何よりこの知らない場所。ここが海上を走る船の上だということは最初から分かっている。でもそれしか分からなかった。そもそも先程の規格外にでかい男を見る限り自分が生きている世界なのかすらも怪しい。私の脳が勝手に作り出したファンタジーの世界なのだろうか。なんにせよ一体どうして、私は夢の中でこんなところにいるのだろう。
すると再度視界の端で人影がチラつく。また大男かと反射的に勢いよく振り向けば、夢だと分かっていても思わず呆気に取られた。

(わ、私…!?)

私が…いや、私とそっくりな女の子がこちらに向かって来ていた。衝撃で固まる私に目もくれることなくまた彼女も駆けるように通り過ぎていく。思わずその後ろ姿を追いかけた。

見慣れない服を着ている彼女は、顔こそ私と双子のように似ているけれど年齢は凡そ20歳前後だろうか。彼女は一体…跡をつけたところでその答えがあるのかは不明だったが、動かずにはいられなかった。
追いかけた先、甲板の端にたどり着いた私は目に入った光景に息を飲んだ。彼女の駆け寄った隣にいたのはある一人の男。筋肉質の身体を惜しげもなく晒した上裸の背中には十字架を模したような不思議な刺青。頭にはオレンジ色のハット帽。
間違いないと思った。知っている。私は、この男を知っている…!
最近はとんと見なくなっていたが、一時期頻繁に夢に出てきた男だ。煌めく光の先にいつも立っていて、私の名前を呼ぶあの男。どうして、今、彼がここに。混乱を極める私をよそに二人は会話を交わしており、その様子から随分と親しげな雰囲気を感じる。
訝しげに見つめていると、ハット帽の彼の腕が私そっくりの彼女の腰に回って思わず私はその場で噎せ返った。そのまま何の気もなしに二人は距離を縮めるのだから、急激に居心地が悪くなる。

(私は一体なにを見せつけられてんの…!?)

ここに人がいるのにイチャつくなよ!ああでも見えてないのか!分かっていても苦虫を噛み潰したような心地になるのはしょうがないだろう。しかも女の方が自分にそっくりな分、殊更複雑な気持ちだ。

(……でも、なんか)

かと言って何かできるわけでもなく、ただぼんやりと二人の姿を眺める。男の横顔は今回もやはり帽子のつばに阻まれて見えない。
そこでふと思った。もしかしてこれ…顔見るチャンスじゃない?今回の夢は自由に動けるようだし、彼の顔を覗き見ることができるのでは!?再び現れたのも何かの縁、早速そのご尊顔を拝んでやろうと興味本位に歩みを進めた瞬間だった。

ぐにゃりと視界が歪む。そして床が突如抜けて、海水の中に叩き落された。身体が沈むのに対してぶくぶくと泡が水面へ浮き上がるのが目に入る。え、待って、どうしよう、どうしよう、もしかして私このまま───!



「わあああっ!!?」

ガバァッ!と効果音が聞こえそうなくらいに勢いよく飛び起きれば、いつも通りの変わらない寝室の光景が目の前に広がっていた。寝起きとは思えないほど息は荒く、心臓がバクバクとうるさい。…あ、わたし、いきてる?

「…は、はぁぁぁああ〜」

10秒近く状況理解に時間を使ってから、崩れ落ちるように布団に顔を埋めた。
なにあれ!とんっっでもない夢見た!!知らない世界で私は幽霊みたくなってるし、ドッペルゲンガーみたいな人が出てくるし、目の前でイチャつくところを見せつけられるし、男の顔は見れないままだし!しかも最後は海に溺れるってどんな仕打ちだ!夢の中で死ぬかと思ったわ!脱力の後に訪れる当たりようのない怒りに似た何かに身体を震わせてもう一度大きく息を吐いた。
それから少しだけ冷静さを取り戻せば、頭の中で映像のように浮かび上がったのはあの二人の姿。男の方は見れずじまいだったが、私にそっくりな彼女の横顔は、

「幸せそうだったな…」

綺麗に笑っていた。自分と同じ顔をしている人物に対して言う台詞ではないかもしれないが、本当に綺麗に笑っていたのだ。幸せそうに、満ち足りたように。私の顔ってああいう感じに笑えるんだ。思わず他人事のようにそう思ってしまった。
一体本当にあの夢は何だったのだろう。考えたところで正解が分かるはずもなく、さっさと諦めて私は出勤の支度を始めた。


*****


『───それはズバリ前世の記憶≠ナす!』

妙に耳についたその台詞に不思議と顔が声の方向に向いた。
会社の休憩室に設置されているテレビの中、清々しいほどのドヤ顔を披露する化粧の濃いおばさんが目に入る。あー確か最近当たるとかなんとかで有名な占い師だったかな、なんて思いながらコーヒーを口に含んだ。元々スピリチュアルとかそういったものは信じない質なせいもあるのか、塗りたくられたファンデーションと真っ赤な口紅、ギラギラと主張が激しいアクセサリーを身に纏うこの占い師はどうにも胡散臭くて私はあまり好きじゃない。

『この世にいる人には誰にでも前世≠ニいうものがあるのです』
「…ぜん、せ」

そう思うのに、何故かその占い師が話すことを馬鹿馬鹿しいと一蹴することができなかった。

『記憶がある人は一握り。ですが前世で関わりがあった人とは今世でも案外巡り合うんですよ』
『この世は輪廻転生。もしかすると気づいていないだけであなたも運命の人≠ニ出会っているかもしれない』

「……運命の人=v

……ってなに考えてんの!危ない!
紅い口紅がゆったりと弧を描く様まで食い入るように見つめてから上の空で呟いた一言に我に返った。だから私はそういうの信じないんだってば。…いやでも、もし今朝のあれが前世に関係があるとしたら私にそっくりな女の子の辻褄も合わなくもないっていうか、万が一にでも私の前世の姿っていう可能性も無きにしも非ずっていうか…。え、待てよ、じゃあそうすればあのハット帽の彼は何?まさか運命の人≠ニかそんな訳…

「あ、いたいた、ナマエ先輩!」
「わあ!?」

悶々と一人考え込んでいれば物陰の端からひょっこり覗いた顔に身体が飛び跳ねた。相手は後輩社員で、私のことを探していたという口振りで近づいてくる彼女に首を傾げる。

「今週末の忘年会の参加可否についてなんですけど、係長に聞いて来いって言われて」
「あ、ああー…」

忘年会か…そういえば近々そんなものがあったな。少し前に周知の社内メールが来ていたような気がするけど、後でいいやとろくに確認もせずスルーしてしまった記憶がある。すっかり忘れてた。

「ちなみに係長や主任はぜひナマエさんに参加してほしいって言ってました」
「…ソウデスカ」

それはあのハゲ課長のお世話役っていう意味だろうなと内心乾いた笑いを零した。サボさんがいる会社との例のプロジェクトチームになってからというものの、不本意ながら何度も課長のフォローに回っているせいですっかり私はその地位を確立しつつある。誠に不本意ながら。まともに仕事しないくせに気難しくて扱いづらい人間だもんなアイツ、と遠い目になるのも無理はない。

「私もナマエ先輩には来てほしいです〜!少しでも女性社員がいた方が気持ち的に!」
「そうだよねえ、じゃあ一次会だけ参加って伝えといて」

どちらにせよ今の部署に異動してきて初めての忘年会だから不参加っていうのも難しい話だし。あんまり気乗りはしないけど。私の返答に、分かりましたー!とアイドルさながらの輝く笑顔を振り撒いて立ち去っていった彼女の背中を見送れば、ぬるくなったコーヒーを飲み干した。
そういえば飲み会の場所ってどこだっけ。どうせそんな楽しめないだろうからせめて料理が美味しいところだったらいいなあ、なんて思いながら後でメールを確認しておこうと休憩室を後にした。

この後忘年会についてのメールを確認した私は「どんな偶然だよ!」と派手に突っ込むことになるのだが、今思えば、これは完全にフラグが立っていたのだと思う。


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