ある雨の日02【柔勝】 荒い息遣いが部屋に響く。その息遣いはまだ幼さを残し、独特の高い音だった。 「じゅ…ぅ…ぞぉ」 「大丈夫です、全部任せてください」 自分の胡坐の上に対面で座っていた勝呂にまた背中を向けさせ、後ろから手を伸ばしている。同じ浴衣を着ていたが、サイズの小さい勝呂の浴衣は肌蹴てまだ白い右肩がみえてしまっている。腰紐は解いていないのですべてが肌蹴るということはないが、柔造を興奮させるにはその白い右肩と閉じたくても柔造の手で閉じれなくてもじもじしている足だけで十分だった。薄暗いが目が慣れると柔造たちは互いの表情を見れるくらいにまでなっていた。柔造は時折勝呂の横顔を見て恍惚に浸り、手を動かす。 「は…ぁ、」 「坊、どうですか?」 「どう…て、ん、そんなんっ」 柔造の手は勝呂の下肢に伸びている。そしてその中心を右手がゆっくり時間をかけて弄り、左手は内太ももに触れたり勝呂の頭をなでたりしている。その感覚にくらくらとなりながらも勝呂は声を出すまいと口を押さえている。 「あかんあかん、そんな声詰まらしたら喉痛ぁなります」 「やって、こんなこえ……」 「外は大雨、柔造以外聞いてやしません」 やからほら、手ぇどけましょ、と口のあてられた手をどかせる柔造。勝呂はいやや、と言っているがそこはきいてやらない。 「ん、ぁ、あぅ……」 「こうやって触ってるとここがかたくなるんです。分かります?」 「うぁあ…っ」 ここ、と柔造が中心を強めに擦ると勝呂はびくんと震え、その刺激に耐えるのでいっぱいいっぱいだった。柔造は話せない程勝呂が感じていることを分かっているが、あえてそこはとぼけて聞こえていないんじゃないかという素振りをする。 「坊、分かりますか?」 「わか……る、分かる、から……っ」 行き場のない勝呂の右手は後ろにいる柔造の胸の当たりを握っている。 (俺、今坊のしごいとる…あかん、やばい勃つ、勃ってもた。めっさかわええ) 勝呂の耳元でしゃべれば勝呂はすぐに身を捩るが、それを許さずがっちりと後ろから押さえた。 「坊、びくびくしとる」 「耳っ触らんで…っ」 「坊は耳弱いんや」 勝呂はそろそろ限界に近付いてきている。それは柔造にもわかった。このままずっと勝呂を抱きしめたままいたいという気持ちと、達したあとの顔を見たいという気持ちとで分かれている。ふーっふーっと荒い息を繰り返しながら、涙を浮かべている勝呂を少し可哀そうにも思う。 「じゅ、ぞ…、こんな…ぁっおれ…びょーき?」 「病気やあらしません、普通です。こうやって定期的に気持ち良ぉなれば夜に下着汚すこともなくなります。ほら、もっと気持ちくなりますよって」 大丈夫ですえ、とほほ笑んでやれば、それを横目で見た勝呂は安心したように涙目ながらもうっすらと微笑み返した。そこで柔造は限界だ、と思った。坊をいかせたい、自分の手でいかせてやりたいと強く思ってしまった。柔造は手の速度と強さを速め、勝呂を限界へと追いやる。その速さについていけず、勝呂はまた涙を流し、びくびくと放り出していた足を震えさせた。 「あか……あかんって、ひ、ぁ、や、や、……なんか、出て、まう!」 「柔造の手に出してええんです」 「や、やめっぁ……っん、ぁ、あ!」 根元から一気に扱くと、勝呂は我慢できずに達した。くたりとその体を柔造に預け、その初めての感覚に震えて口から零れている唾液をぬぐうこともできない。 (かわええ、めっちゃかわええ) 柔造はまだ精通の意味すらあまりわかっていないような勝呂にこんなことをしているという背徳感を味わっていたが、それすらも吹き飛ぶような勝呂の痴態を見てさらに興奮していた。このまま自分の処理もどうにかしなければ、と考えていたが勝呂はもうなにもできなさそうだ。 「……坊、坊、大丈夫ですか?」 「ん…、」 勝呂の目はほとんど閉じかけで、すぐにでも寝入ってしまいそうだ。ここ数日、夢精が怖くてあまり寝れなかったんだろう。柔造はティッシュで涙や唾液をぬぐい、浴衣を整えてから布団に寝かせた。 「ゆっくり寝とくれやす」 「んん……柔造ぉ、おやすみ」 柔造の人差し指を握ったまま、勝呂はそのまますっと目を閉じて寝息を立てた。 「………どうしよ、これ」 柔造は元気になった自分を見てため息をつく。これからこれを自分一人で処理しなければならないのか。しかしこれで良かったとも考えられる。このまま勝呂が起きていては自分がこの小さな子にどんなことをしていたか。ここで止まってくれたのはある意味ありがたいことであった、そう思い込んだ。 ざぁざぁざぁ、雨のよく降る夜のお話。 <了> |