―部活編―






HRを終えてダッシュで部活に向かう。
今日は引退した先輩たちが久しぶりに後輩の指導に来てくれる日だ。
ちなみに元マネージャーのあのばかな先輩も来るらしい。
先輩は部長の彼女だけどみんな寄ってたかってばかだばかだと言うから先輩にはばかという印象が非常に強い。
いやまぁ、いい人なんだけど。すごく。





着替えを済ませてコートへ向かうと早速幸村部長と真田副部長、柳先輩が一年生の指導をしてた。
部長たちを『先輩』ではなく『部長』と呼んでしまう癖はまだ抜けない。
何度か怒られてるけどつい呼んじまうんだよなー。



俺は休憩中の二年にアドバイスをしているジャッカル先輩と柳生先輩を横目にベンチの上でだらけている丸井先輩と仁王先輩の方へ行く。



「よう、赤也」

「遅かったのぅ」

「どうも、先輩。HR長かったんスよ」


二人の隣に腰掛けて練習の様子を窺う。
二年生の方を見るとドリンクを配る先輩がいた。
相変わらず誰とでも楽しそうに話している。



「ってか先輩ら、こんなとこでサボって何見てるんすか?」

「あのばか……」

「え?」

「いっぺん爆発せんかのぅ」




二人とも目が据わってた。





先輩たちと練習の様子を眺めていると一年生も休憩に入った。

先輩は一年生用に作り置きしていたドリンクとタオルを取りに向かう……はずだったが、途中で幸村部長に捕まった。




「幸村?お疲れ様!今ドリンクとか取ってくるから」

「ふふ、そんな焦らなくてもいいよ。なまえこそお疲れ様。久しぶりだし大変じゃないかい?」

「はは、まぁ確かにマネ業の大変さをはっきりと思い出した。でも楽しいよ!」

「そっか。よかった」




先輩、そんなこと思ってくれてたんだ……





「……それに、幸村のテニスを近くで見たのは久しぶりだったし…」

「え、」





あれ、なんか雰囲気が甘くなってきた。






「…俺も、久しぶりになまえがマネ業頑張ってる姿が見れて嬉しかったよ。」

「幸村……」

「まぁ、久しぶりに会う後輩たちといつも以上に仲良くしてるのにはちょっと妬けるけどね。」

「え、」

「はい二年生休憩終わりー!全員コートに入ろうか、赤也と真田、柳もね。」

「幸村、俺たちはまだドリンクやタオルを受け取ってな「何か文句でもあるのかい真田?」……いや」

「じゃあまず久しぶりに見本代わりにでも試合しようか。一回戦はサボってた仁王VS俺からのブン太VS俺で」

「「げっ」」





その後、先輩と仲良くしていた二年生とサボっていた仁王先輩と丸井先輩、それに俺と真田副部長は久しぶりに幸村部長にたっぷりしごかれた。
先輩は困ったように笑って「頑張って」と言っていた。
いやあんたが原因っすよ先輩のばか!!!






結論、公害でしかない。
(まぁそんなばかな先輩と幸村部長がお似合いだって)
(俺も他の先輩たちも思ってるんスけどね)







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