「きゃあああ!ナマエじゃないの〜!」
『リ、リリー…!ひ、久しぶりだっ…ね』
図書館へ行く途中、リリーに会った。
こんなに噛み噛みなのは、決してリリーへの苦手意識などではなく、突然抱きついてきたリリーに驚いているだけだと声を大にして言いたい。
「そうよ〜!あ、今からホグズミードに行くのよ。ナマエもいっしょにどうかしら?」
『え、いや、わたしは…図書館でレポート仕上げなきゃ…』
「休みの日にレポートなんて馬鹿げてるわよ!いっしょに行きましょう!ね!ね!」
『あ、あー…じゃあ…』
「じゃあ行きましょ!」
曖昧に肯定すると、リリーに腕をとられ、引きずられるようにホグワーツを飛び出すハメになった。
***
『……で、どうしてこのメンバーなの?』
まずわたしの隣にリリー、その向かいにポッター君、その隣にシリウス、ピーター君と続く。
そして何故かわたしのもう一方の隣に座っているルーピンで、ホグズミードの喫茶店の一角を陣取っている。
「会っちゃったから仕方ないじゃない。…みんなナマエとは初対面?」
「僕は『ルーピン以外とは初対面だよ?』………」
爽やかな笑顔でシリウスを遮るナマエ。後にジェームズ氏は、この時「背後に黒いものが見えた」と語っている。
「じゃあ紹介するわね。レイブンクローの花、ナマエ・ミョウジよ」
『リ、リリー…お願いだから、恥ずかしくなる紹介はやめて…!』
リリーに赤面しながら懇願すると、にやにや笑われた。
くそう…!こんな綺麗な顔で直視されたら怒れないじゃないか…!
つくづく美人って得だと思う。
「きゃー!もうすぐ赤くなって可愛いんだからあ!」
『ちょ!いきなり抱き締めるなああ!』
「照れちゃって〜」
頼むからポッター君、そんな物欲しそうな顔で見つめないで欲しいな。いつでも変わってあげるよ。
「で、こっちがリーマス・ルーピン」
「昨日ぶりだねナマエ。」
『ははは…どうも。』
隣で爽やかに微笑まれたら照れる。ふつうに照れる。
「可愛いなあナマエは」
『いやいやとんでもない』
「…難しいもんだね」
『え?』
「何でもないよ」
「でねナマエ。向かいのが悪戯仕掛け人の奴ら」
リリー…説明がどんどん雑になってませんかね。
「リリー!奴らだなんて、ひとまとめじゃなくて、「煩いわよポッター」
ピシャリと遮られたポッター君。
さっきは変わってあげる、なんて思ったけど…ごめんポッター君、優越感あるわ。なんだかにやけてきたよ。
それより、
『さっきから敵意に満ちた目で睨んでくるシリウス、言いたいことがあるならハッキリ言ってもらえるかな?』
わたしの視線の先には、まさに上記の状態のシリウス。
もう何だっていうんだ。
「……なら言うけどな!昨日お前のせいでおれがどんな目にあったk…げふぶっグワァッ……!」
……………
「きゃあっ!シリウスが血を吐き出したわ!気持ち悪いッ!」
『ちょ、リリー…』
なんて直接的な…!オブラートって知ってる?
「リリーと僕の可愛いナマエが汚れるワケにはいかないよね。君たち、そこを退いてくれるかな?」
一方のルーピンは爽やかな黒笑で、隣のテーブルに座っていたホグワーツ生を店から追い出すと、優雅な手つきでわたしたちをエスコートしてくださった。
てか、元凶君じゃない?
うん絶対君だよね。
「さあナマエ、なに頼む?僕的には『相手の心もメロメロどっきゅん☆恋の魔法のメロメロソーダ』がオススメなんだけど」
そんな露骨なネーミングやだ。とか言えないこの状況。
ニコニコ笑って、ひとつのグラスにハートが形作られた2本のストローがさしてある写真を指差すルーピンから、わたしは顔を逸らして
『リリーいいい!』
「あら、いいじゃない。それをカップルで飲むと、2人の愛は永遠のものになるそうよ」
「じゃあ、これでいいよね?」
『いや、わたしはコーヒ…』
「いいよね?」
『……お願いします…』
こうして変わったメンバーでのホグズミードは、なかなか楽しい(?)ものとなった。
***
〜おまけ〜
別席での3人の行方
「シリウス!リーマスの前であの子に挑発的なことを言ったらダメだろう!」
「げふぶっ…!」
「シリウス大丈夫?」
「リーマスに気に入られてる以上、あの子は現在ホグワーツで最強だ。」
「グワァッ…だ、だよな…!」
「ピーターも気をつけろよ。リーマスからは僕等も助けてあげられやしないんだからな!」
「ナマエに手を出したら殺されるぞ!」
「ヒイィィイ!」
こうして、その日のうちに『ナマエを大事に(してリーマスを怒らせないように)する会』が発足したという。
カップルスイーツご賞味あれ
(ナマエ、美味しいね!)
(なんか…甘すぎるくない…?)
(美味しいよね!)
(っね!)
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