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屋上に来た。
良い眺め。
「ふぁー。いい天気ー」
ん?
いやそうじゃなくて!
何故!なんで屋上!?
ここに来たかった訳じゃないのに!
そんな所に、
人発見!!
その人は
後ろを向いていたけれど、直ぐにわかった。
絶対お金持ちの方!!
上から下まで磨き上げられた、
艶々なクリーム色のくりくりの髪や
爪まで綺麗に整えられている手、
ピカピカの靴。
背はオレより低いかなってくらい。
ちょっと声をかけにくいなぁと思われるのは
その子が
フェンス越しだということ。
「あ、あのぉ…」
思い切って声をかける。
だって道を聞かないといけないし。
一時間はさ迷っているので、次に人に会えるか不安だからだ。こっちも必死なのである。
「ぇ。わっ!」
フェンスが、ガシャリと音を立てる。相手は驚いた風でフェンスを背にこちらをちらりと見た。
「す!すいませっ、あの!」
え、めっちゃかわいくない?この人!!
少し距離があるのでそこまで良く見えないが、そうとうな美人さんである。絶対。
そしてネクタイの色が二年生さん。
「な、なんですか?…僕は決めたんです」
うるりと光る瞳から今にも落ちそうな雫がキラリと太陽にてらされて輝く。
「??」
「・・・あ、・・・あなたみたいな人達には分からないんですよっ!僕がどんな思いで、アイツに連れ回されていたか!会長様には睨まれるし友達だって・・・」
「えっえっ」
アイツ?ん?
「あ、ぁ…えっと
あの、教室の行き方教えて…欲しいん、です」
そうそう、とりあえず落ち着こうっ!と聞きたかった事を話した。
「僕はここから飛ぶ気でいるんですけど」
少し猫目のまん丸な瞳がオレを非難する。
それの理由が分からなくてこてんと首を傾げて返す。
「え、あ、そうなのですか。えと…じゃあ、その前に教えてくれませんかっ?や、やっと人に会えてっ」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
沈黙。
「本気だけど」
「え、あ、はい」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・・なんで止めないの?」
「───」
彼の言葉に、一度首を捻って問に答える。風が高い屋上を駆け抜ける。
「え?」
あ、あれ聞こえなかったのかな。
「え、止めないといけないんですか?」
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