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「えーと…。な、なんか分からないんだけど、いっくんそれ本当に言ってる訳じゃない、よね。」
「は?」
オレの言葉にいっくんは驚いたような、少し怪訝な声を上げた。
それに構わず、
「いっくん、飽きちゃったの?」
と続けると、いっくんは数秒固まった後、笑らいだした。
「あー、バレた?くくくっ!はぁ。
ちっとさぁ、想定外なんだよ。友人に転入生呼んでくる配役頼んだのに来ねーの。藍川サマって言えば何でもしてくれそうだし言ってみただけ。俺巻き込まれそうだし」
「わぁ、いっくん友達いるんだねぇ」
「うわ。何それ?俺ぼっちだと思われてる?俺、ここでは目的の為に敢えて作らないだけでだぜー間宮は友人つーか目的の為の共闘関係なだけ」
「目的…なるほど。ででも、オレ友達居ないからすごいと思う、よ?」
こてんと首を傾げる。
同い年の子に会うのも学園に来てからが初めての事だ。
周りは年上の人ばっかりだったし。
そう思いながら伝えると、いっくんは微妙な顔つきになった。
「なんか藍川サマ思ってたよりおもれー!」
「う?」
全くもってハテナである。いっくんは、先程のつまらなそうな態度から一転、面白そうなものでも見つけたように凝視してくる。
「いいものみーっけ」
にししっと笑ういっくんを「何をだろう」と小首を傾げた。
その後は、いっくんが思い描いていた事件は起きず普通に授業に戻ったのでした。
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