アナタが世界でボクが色。 | ナノ


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「このタッチパネルをタッチして、和食とか洋食、軽食、デザートなんかの今食べたい分類をタッチ。んで、メニューを選ぶ。あとはこれ」


テーブル横に設置されている銀色の機械をタッチし、携帯をブレザーのポケットから取り出してアプリ画面を機械へとかざしてみせる

画面上には『注文完了"15分待ち"』の文字が表記されていた


「やってみー」


既に意識は周囲に行っていたいっくんに促されてパネルを覗き込む。


「…これ…押して、」


……えーと。


「これ…」


恐る恐る指を画面に持っていくと、途端に画面が切り替わった
無駄に連打しそうになって思いとどまる。

わぁ。未来人みたい
ハイテクだハイテク!


「いやいや違うって、それキャンセルだし。また最初っからじゃん。何やってんのさー」


「ぁ…、そうなんだ…」


「機械音痴かよ」


「そ、そんな事ない。け、携帯はまだあんまりだけど、でもテレビの録画とかちゃんと出来る…から違うと」


実際言われてみると、自信がなくなって徐々に声が小さくなる。

方向音痴なのに機械音痴も追加されたら堪らないです…。

いやいや。大丈夫なはず。

だって、お風呂の沸かし方だってわかるし、DVDの焼き回しも出来るし、テレビの予約タイマー機能だって使いこなせるんだよオレ!
あと変な丸い掃除機も使えるようになったからね。ほんとだよ。
どれも難易度の高い技だった気がする。

うん。


「機械音痴じゃないよ!」


これは胸を張って言っていいんじゃないだろうかっ


「いや、そんなん自信満々に言われても。まぁ何でもいーんだけど、早く頼んで」


「ぁ、う。ごめんなさい…」


いっくんにもう一度教えて貰うと、キッカリ指定の時間に注文した料理が運ばれてきた。


「失礼します」


うぇいたーさん!
専用の係りの人もいてびっくりです。


「わ、わ、えっと。…どうも…」


いっくんがハンバーガーとポテトサラダでオレのは本格トマトのリゾット?とピカピカに磨かれたスプーンが置かれた。
さすがに手際が良い。颯爽と去っていく後ろ姿もまさにプロさん。


「んまぁ…」


…味もプロ。
高級料理を初めて食べた時の感動が蘇った感じ。日向さん家の和食もおいしかったけど、これも…んふー。
自然と足がばたつきそうだったのを寸でで気付いてやめる

いっくんはというと、ハンバーガー片手に携帯操作

あれってあれって
ファーストフードっていうんだよね。確か。

おいしい料理に舌鼓を打ってると、突然の目が覚めるような衝撃で肩がビクッと跳ね上がった。

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